長時間労働がよくないということは、改めて言うまでもないでしょう。
しかし、労働基準法の第36条に則って労使協定をし、行政官庁に届け出た場合においては、その協定に定める労働時間を延長し、残業や休日労働を行うことが認められています。
この労使協定のことが、皆さんもよく耳にするであろう「36協定」になります。
もしこの「36協定」を労働基準監督署に届け出ずに従業員に時間外労働をさせた場合は、当然、労働基準法違反となります。
長時間・時間外労働を行うにあたって、「36協定」と同様にもう一つ大事になるポイントがあります。
それは長時間・時間外労働を行った場合、それに対する割増賃金が支払われているかどうかです。
是正指導により支払われた割増賃金は、約100億円
先日、厚生労働省では時間外労働などに対する割増賃金が支払われていないとして、労働基準法違反で是正指導した結果の平成27年度分を公表しました。
■是正指導した結果の公表内容抜粋
・是正企業数…1348企業
・支払われた割増賃金合計額…99億9423万円
・対象労働者数…9万2712人
↓
【支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり741万円(労働者1人当たり11万円)】
是正指導を受けた上記に含まれる企業の中には、タイムカードを使用してはいたが、労基の立ち入り調査によってパソコンのログオフ記録や電子メールの送受信履歴から、時間外勤務の状況が発覚したというケースが多く見受けられたようです。
割増賃金の正確な算出方法は?
法定労働時間は多くの方がご存知の通り1週40時間、1日8時間となっております。
この法定労働時間を超える時間外労働や深夜労働、休日労働に対する割増賃金は、次のような率で支払う必要があります。
1・時間外労働…通常の賃金の2割5分増以上
2・休日労働…通常の賃金の3割5分増以上
3・深夜労働(午後10時〜午前5時の間)=通常の賃金の2割5分増以上
4・時間外労働+深夜労働=通常の賃金の5割増以上
5・休日労働+深夜労働=通常の賃金の6割増以上
※ちなみにここでの「通常の賃金」とは、原則として通常の労働時間または労働日の賃金、すなわち所定労働時間内に働いた場合に支払われる賃金のことをいいます。
(通勤手当、家族手当等は除外になります。)
このページをご覧の皆様の長時間・時間外労働に対しての賃金は、適切に支払われていますか?
労働基準監督署では、引き続き、労働者などから情報が寄せられた企業に対して積極的に監督指導を実施していくとも宣言しています。
ぜひこれを機会にご自身の勤務簿や給料明細を確認してみてはいかがでしょうか。