がん患者の就労を支援する「がん対策加速化プラン」

2015年12月3日、厚生労働省から「がん対策加速化プラン」が発表されました。

がん対策加速化プランとは

  1.  がんの予防(避けられるがんを防ぐ)
  2.  がんの治療・研究(がんによる死亡者数の減少)
  3.  がんとの共生(がんと共に生きることを可能にする社会の構築)

の3つを柱としたがん対策のプランのことです。

がん対策加速化プランの背景

がんは皆さんがご存じのとおり、日本人の死因の中で一番多い病気です。
なんと、生涯のうちに約2人に1人が、がんにかかると推計されています。(平成26年)

日本では10年ごとに「対がん10カ年総合戦略」、「がん克服新10か年戦略」
「第3次対がん 10 か年総合戦略」などの施策を政府は行ってきました。

しかしながら、平成 27 年6月に策定された「がん対策推進基本計画中間評価
報告書」では、平成19年から10年間の目標である、
「がんの年齢調整死亡率(75 歳未満)の 20%減少」について、
このままの状況では、目標の達成が難しいと予測しています。

理由としては、たばこ対策やがん検診の受診率向上のための
施策が遅れていることが挙げられています。

高まるがん患者への就労支援の必要性

現在、勤労者である20代~64歳までのうち、約26万人がガンに
かかっており、そのうちの約7万人ががんで亡くなっています。

また、がんにかかった勤労者の約30%が依願退職し、約4%が解雇されています。
がんにかかってしまうと3割以上の人が仕事を辞めているのが現状なのです。

このことから、がん患者への就労支援の必要性が高まってきています。

就労者へのがん対策の充実が、重点的に取り組むべき課題として
第2基本計画に盛り込まれています。

仕事が継続できない理由として挙げられることでは、
「仕事を続ける自信がなくなった」(36.6%)が最も多く、
次に「会社や同僚、仕事関係の人々に迷惑をかけると思った」(28.8%)
でした。そのほかにも「体力の低下」や「病気の症状や副作用、後遺症」
などが挙げられました。

このことから、仕事と治療を両立ができるように会社側が支援すること、
がんになっても安心して働きつづけられるような社会的支援が必要であるといえます。

厚生労働省の提案している施策

・がん相談支援センター(拠点病院等)仕事の継続を重視した相談支援の実施、
就労相談を重視した地域統括相談支援センター29の拡充

・ハローワークが拠点病院と連携し、就職支援を行うことや、
事業主向けセミナーや就業支援ナビゲーター交流会などを開催

・がん患者が就労の継続が可能であるにも関わらず、直ちに辞職したり、
解雇をされたりすることがないよう、治療と就労が両立させるための
企業向けガイドラインを作成し普及を推進

・がん検診の受診率の目標を50%(胃、肺、大腸は当面の間40%)とし、
がん検診を無料で受けられるクーポンの配布や、国民一人一人への受診勧奨を
平成21年度より実施。
そのほかにも厚生労働省はがん患者に関する様々な支援を推進していく方針のようです。
しかし、がん検診に関しては、
先進国の受診率が50~85%程度なのに対し、日本はいまだに50%未満。

政府の施策だけでなく、私たち一人一人が、がんに関する関心を高め、予防などの対策を
行っていき、また、がん患者への理解を深めていくことが重要なのではないでしょうか。
参考:http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000106059.pdf

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