定期健康診断、やりっぱなしになっていない?
- 2017/4/18
- 労働安全衛生法
毎年、この時期になると社内でも話題に上がることの多い定期健康診断。
私も今の仕事を通して、いろいろな企業の人事・総務のご担当者様と定期健康診断の取り扱いに関してお話する機会があります。
そんななか、「定期健康診断? モチロン受けさせているよ! え?その後?は知らないな」といった反応を示す企業のご担当者さまにお目にかかることがあります。
企業にとっての義務は、「定期健康診断を受けさせることだけ」ではありません!
健康診断を実施した後に関しても、しっかりとした措置を講じなければ意味がありません。
事業主が行うべき定期健康診断の事後措置
1.健康診断結果の保存義務
事業主は、健康診断の結果に基づき「健康診断個人票」を作成し、5年間保存しなければなりません。
定期健康診断の結果は、事業主の安全配慮義務として必要に応じて知る必要があります。
健康診断の実施機関によっては、個人の結果と合わせて事業主向けに結果を返却してくれることが増えています。
もし、未保存だった企業のご担当者様は、当該機関に問い合わせてみてください。
2.健康診断の結果についての医師(産業医)からの意見聴取
健康診断が行われた日から3か月以内に、医師の意見を聞かなくてはなりません。
そして、聴取した医師の意見を健康診断個人票に記載することになっています。
まだ産業医を選任していない、身近に相談することのできる医師がいない際は、お近くの地域産業保健センターや、ドクタートラストにお問合わせください。
3.健康診断実施後の労働者に対する措置
事業主は、医師などの意見を勘案して、その必要があると認めるときは、その労働者の実情を考慮して就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の適切な措置を講じなければなりません。
4.健康診断結果の報告義務
常時50人以上の労働者を使用する事業主は、この定期健康診断を行なったときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。
【参考】厚生労働省「各種健康診断結果報告書」
また、最近では、書面での報告だけではなく、電子報告も可能となっているようです。
定期健康診断の事後に関しても、これだけ細かな実施事項が存在しています。
上記のどれか一つ欠けているだけでも、健康診断が正式に行われていなかったと認識されてしまうおそれがあり、社員に健康診断を受診させる義務を果たしていないとみなされた場合、労働安全衛生法上、事業主は50万円以下の罰金に処される可能性もあります。
そうでなくとも、事業主側に、従業員の健康管理の責任が問われている今の日本、定期健康診断という身近なところから見直してみてはいかがでしょうか。