職場の濃厚接触者は特定しなくてもいい?オミクロン株に適したコロナ対策の緩和
- 2022/4/4
- 新型コロナウイルス
新型コロナウイルスのオミクロン株が拡大した「第6波」のピークは越えたと考えられていますが、その減少スピードは緩やかで、感染者数は2021年夏のピーク時とくらべ2倍以上と、決して少なくない状態が続いています。
その一方で、2020年の最初に発出された緊急事態宣言からおよそ2年が経過し、ワクチン接種も進んだことから、徐々に新型コロナウイルスの規制も緩和されつつあります。
今回は、2022年3月17日に変更された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」にもとづき、職場に陽性者が発生した場合を想定してわかりやすく解説します。
① 陽性者が会社で発生したときの濃厚接触者の考え方
新型コロナウイルスの陽性者が発生した際に、対応に困るのが「濃厚接触者の特定」と「どのくらいの期間を自宅待機してもらうか」でしょう。
前提条件として、濃厚接触者の定義は、オミクロン株であってもほかの変異株であっても変わりません。
濃厚接触者の定義は以下をご確認ください。
「新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者ってどんな人?」(HOW)
陽性者と「同居」または「マスクなどなしに1m以内・15分以内」などが「濃厚接触者」と定義されています。
それでは、職場で陽性者が発生した場合は、会社としてどのような対処をしたらいいのでしょうか。
まず、濃厚接触者にあたる社員に症状がみられる場合は、保健所などによる濃厚接触者の特定等を待つことなく、出勤、登校の自粛を含めた感染対策を講じましょう。
しかし今回の変更によって、オミクロン株が主流の間は、基本的な感染対策がしっかりなされた職場であれば、基本的に濃厚接触者の特定や無症状者についての出勤の制限を行う必要ないとされました。
この変更は、職場内での感染拡大の確率が同一世帯内にくらべて「低いと考えられる」ことが理由であると発表されています。
ただし、感染者と接触があった方に対して、重症化リスクの高い方との接触や感染リスクの高い場所への外出を控えることを促すなど、自主的な感染対策の徹底は欠かせません。
② 社員の同一世帯内で感染者が発生した場合
次に、感染拡大の確率が高い「同一世帯内」で陽性者が発生した場合について考えます。
同一世帯内での感染者が発生した場合は、同居家族は濃厚接触者となり現行では行動制限が必要となります。
同一世帯内における濃厚接触者の行動制限待機期間は、当初の14日から10日に、さらに7日へと短縮されてきており、今回は以下のとおり「4日目と5日目の2回にわたる抗原検査が陰性であった場合に、5日目に自宅待機を解除する」と変更されました。
待期期間、原則7日間(8日目解除)だが、社会機能維持者か否かにかかわらず、4・5日目の抗原定性検査キットで陰性確認後、5日目から解除を可能(7日間は、検温など自身による健康状態の確認等を求める。)とする出所元:首相官邸「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和4年3月17日変更)」
濃厚接触者の特定については「職場で感染するリスク」と「家庭内で感染リスク」の違いから、どこで濃厚接触者となったかによって対応が変わってくるというわけです。
③ 4回目のワクチン接種の検討
上記の変更により、感染者数が依然多い中、職場や濃厚接触自身の判断に委ねられている部分が多く、会社などが濃厚接触者を特定しなくなれば、家庭内を含めて感染が広がる懸念は残ります。
そこで、日本では現在、ブースター接種と呼ばれる3回目のワクチン接種が進められており、今回の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」にも、幅広い年齢層へのワクチン接種を進めていくよう以下の文言が新たに追加されています。
12歳から17歳までの方への3回目接種については、今後、厚生科学審議会における必要な審議等を経た上で、予防接種法に基づく予防接種として位置づけられた場合には、令和4年4月以降に接種を開始できるよう、自治体において準備を進める。出所元:首相官邸「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和4年3月17日変更)」
他国では4回目接種も始まっているようですが、今回の変更では、日本の4回目のワクチン接種についても触れられていました。
効果や安全性については、まだ不明点が多いため、諸外国の動向や3回目接種の効果の持続状況等の最新の知見を踏まえて検討していくことになるでしょう。
春は、環境が変わることで、飲み会の機会が増えたり、ゴールデンウィークの過ごし方を検討する方も増えるでしょう。
今回の新たな変更や文言の追加は、あくまでもオミクロン株に対する対策であり、今後現れる変異株の病原性は誰も予測はできません。
おそらく遠くない将来起こるであろう第7波に向けて備えるためには、皆さんの日頃の感染対策が大事です。
職場においては、社員の体調管理を徹底し、少しでも体調が悪い場合には休暇を取得できる環境を確保することが必要であることに加え、職域におけるワクチンの追加接種を積極的に進めていきましょう。