「人類がここまでマスクを長時間着用し生活したことはあっただろうか」と思わずにいられないほど、マスク着用が日常になりましたね。
新型コロナウイルス感染症は発症前から周囲の人に感染させる可能性があるため、WHOは「症状がない人も含めたマスク着用」を、さらに日本でも「新しい生活様式」として「屋内では無症状者もマスク着用」を推奨しています。
こうした「無症状の人も含めてマスクを着用する」という考え方を「ユニバーサルマスク」といいます。
ユニバーサルマスクは新型コロナウイルス感染症の感染予防のために必要な一方、夏のマスク着用は熱中症のリスクも高める危険性があります。
そこでこの夏、注目を浴びているのが「冷感マスク」です。
今回は、冷感マスクの概要や熱中症対策への効果などについてわかりやすく説明します。
冷感マスクって何?
ドラッグストアだけでなく、バラエティショップなどでも「冷感マスク」、「夏マスク」、「ひんやりマスク」と展開されているのを見かけますよね。
本稿ではこれらをまとめて「冷感マスク」といいます。
冷感マスクの機能は商品によってさまざまですが、主として「接触感」「通気性」「速乾性」が謳われています。
冷感マスクのしくみ
多くの冷感マスクでは、暑い日でも快適に使用できよう、触るとひんやりする接触冷感素材を生地に使用しています。
ところで接触冷感素材に触るとひんやりするのはどうしてでしょう。
素材によって特徴が異なるものの、化学繊維ではレーヨンやキュプラがこの接触冷感に優れた性質を持っており、以下の点から「ひんやり」をもたらしているようです。
・ 繊維中に水分を多く含む
・ 熱伝導率や熱拡散率が高い
・ 触ったときに少し硬く感じる
また、生地内の水分を素早く吸収して拡散することで、気化熱を奪う方法もあります。
この場合、汗や湿気等がマスク内にあると、生地へ瞬間的に熱が移動して冷たく感じます。
この生地の場合、速乾性にも優れているため、屋外での作業後や運動後の汗冷えを防止する効果ももたらします。
熱中症に冷感マスクって効くの?
では、熱中症予防に、冷感マスクは本当に効き目があるのでしょうか。
熱中症の原因は「暑い環境」と「脱水」です。
以下では、暑い夏を安全に乗り切るために大事なポイントをご紹介します。
体温の上昇を抑える
マスクをしていると、自分の呼吸によって温かい空気しか入ってこず、呼吸で身体を冷やすことが難しく、体温を上昇させてしまいます。
呼吸をしっかりする
暑い空気は、体積が増えるため酸素量がいつもより少ないといわれています。
マスクをしていなくても、暑い空気は息苦しさを感じやすく、暑くて身体が疲れている時は、呼吸も浅くなり、悪循環です。
さらに、マスクをつけていると、十分な酸素を吸い込むことができず、息苦しい酸欠状態となってしまいます。
酸素不足は、血液中の酸素濃度も低下させるため、熱中症の症状が出やすくなります。
こまめな水分補給をする
マスク着用により、口の中の湿度が保たれて、のどの渇きを感じにくくなります。
そのため、いつのまにか脱水症状になってしまう場合があります。
上記からも、日頃着用するマスクの「通気性」「接触冷感」「速乾性」は重要です。
不織布のマスクでは熱がこもりやすく、蒸れて熱中症を発症するおそれがあるため、夏場は冷感マスクを利用するといいでしょう。
それでも気をつけよう熱中症
今回は、冷感マスクについてご紹介いたしましたが、今年の夏の熱中症予防では、適宜マスクを外すことが何より重要になってきます。
日々感染者数が各地で増加している新型コロナウイルス。
「どこにウイルスが潜んでいるかわからないから、マスクを外すのは怖い」という声も聞かれますが、長時間マスクを着用し続けることは、非常に危険です。
感染予防対策と熱中症予防を両立させるためにも、屋外で人と十分な距離(2メートル以上)が確保できる場合は、マスクを外すようにしましょう。
急激に気温が高くなる一方で、当たり前にマスクを着用する日々が続いています。
皆さんも「今年の夏は暑い」と感じていると思いますが、例年にくらべ気温が高く、厳しい残暑が続くといわれており、9月以降も熱中症対策が求められそうです。
今年は、今までの熱中症対策に「冷感マスク」という工夫を取り入れてみるのはいかがでしょうか。