昼休みのタバコ、会社が制限することはできるのか~喫煙をめぐる最近の動向~
- 2019/4/24
- 禁煙
喫煙者のみなさま、最近は全面禁煙の飲食店等が増え、肩身の狭い思いをしているのではないでしょうか?
昨年は株式会社串カツ田中ホールディングスの串カツ田中が全席禁煙としたことがとても印象に残り、世間的に禁煙の機運が高まっていることをとても強く感じます。
就業時間中の禁煙という選択肢
以前、「煙草休憩は不公平?」という記事を執筆し、“喫煙者に対する要求”よりも“喫煙者非喫煙者間における不公平性の解消に向けた企業の取組”にフォーカスして紹介しました。
今回は、就業時間中の喫煙の禁止に向けての取組について紹介します。
近年の禁煙情勢
つい先日、ソフトバンクグループ株式会社が2020年4月に就業時間中の全面禁煙を実施することを目標に、今年の4月から部分的に外出中を含む就業時間中の喫煙を禁止することを発表しました。
同社では、段階的に喫煙の禁止を進め、最初は4月から月末金曜日のプレミアムフライデーを対象に、次に10月には毎週水曜日の定時退社Day、2020年4月には全面禁煙を実現させ、同年10月には全国の事業所の喫煙所を撤廃するとのこと。
また、株式会社リコーにおいては、すでに2015年1月から就業時間中の喫煙を禁止しています。
2社とも社員の健康増進・受動喫煙の防止を目的としており、これだけの大企業が就業時間中の全面喫煙禁止を宣言し実際に取り組むということは、社会的にとても意義のあることだと私は思います。
休憩時間中の喫煙の禁止についてのさまざまな考え方
就業時間中の喫煙の禁止については、実施するかしないかは各企業の内情に合わせて自由だと私は思います。
ここで問題となるのは、就業時間前後・休憩時間中の喫煙を企業は禁止することができるのか、という点です。
「休憩時間に“自由利用の原則”があるため禁止することはできない!」
労働基準法34条において、従業員が就業時間中に取る休憩時間については「労役から離れることを保証された時間」とされており、原則として自由利用が可能とされています。
この点から言えば自由利用が原則とされる休憩時間における喫煙の禁止には、法的な正当性はないといえます。
ただしこの規定には「職場の秩序や規律の保持上必要性がある場合にはこの限りではない」という例外規定も設けられており、そういった反論も可能です。
「自由利用だからといって始業時間前や休憩時間中に飲酒をしたら咎められるだろう、喫煙後の煙草臭さが他の従業員の気分や健康を害し、飲酒と同様に業務に支障をきたすとすれば当然禁止されるべきである!」
“サードハンド・スモーク”という言葉を知っていますか。
三次喫煙・残留受動喫煙とも呼ばれ、直接煙を吸わなくても衣服や髪の毛、壁紙などについた目に見えないガス状の有害成分、およびそれらを摂取してしまうことを指します。
こういった業務上の観点から喫煙の禁止は就業時間外にも及ぶべきである、という考え方もあります。
このように、仕事と煙草に関する考え方はさまざまな視点・意見があり、どれかひとつが唯一の正解であるとは言えないことが多いです。
受動喫煙の防止や社員の健康増進が大事であることは言うまでもないですが、その対策が喫煙者への一方的な抑圧にならぬよう、ていねいに背景を説明し、段階的に実施をし、双方が納得できる形で社員全員の健康が保つことができたら、それが一番良いのではと私は思います。