人材確保に助成金を!
- 2018/7/30
- 助成金
少子化が一層進み、あわせて超高齢化社会を迎えたことに起因する労働力人口減少によって、最近の就職現場は完全に売り手市場です。
世界情勢や技術の目まぐるしい進歩で、就職人気ランキングも大きく変化している影響もあり、大手企業であっても人材確保にはこれまで以上にコストや時間をかけているようです。
平成29年4月発表の中小企業庁データによると、日本企業の99.7%を占める中小企業のなかでも、とりわけ小規模企業は全体の85.1%程を占め、すべての規模の企業のうち1/4程度の従業員数を占めています。
規模の小さな企業ほど、ダイバーシティーへの取り組みに意欲的で、女性やシニア世代、外国人労働者の受け入れなど、多様な人材の積極的な活用に力を入れ、労働力の確保を図っているようですが、資金的な要因から大企業ほど大規模な採用コストや人手を割くことができない事情があり、新卒者の採用はすることができず、中核人材の確保ができないこと、あるいは承継者不在で廃業しているケースもあるようです。
そんななか政府主導で取り組まれている働き方改革の取り組みの一つとして、企業に対する助成金制度が充実していることをご存知でしょうか?
今回は、雇用関係の助成金についてご紹介いたします。
雇用関係助成金とは
雇用関係助成金は、雇用の安定・職場環境の改善・仕事と家庭の両立支援・従業員の能力向上支援などを目的としたものです。
受給対象となる事業主(事業主団体を含む)は、下記のとおり定められています。
- 雇用保険適用事業所の事業主
- 期間内に申請を行った事業主
- 支給のための審査に協力する事業主
上記のうち「支給のための審査」とは、具体例を挙げれると下記のとおりです。
- 審査に必要な書類を整備・保管する
- 都道府県労働局、ハローワーク、高齢・障害・求職者雇用支援機構からの書類の提出に応じる
- 都道府県労働局、ハローワーク、高齢・障害・求職者雇用支援機構の実地調査に応じる
支給申請期間としては、原則として申請が可能となった日から2カ月以内とされています。
参考:厚生労働省「事業主のための雇用関係助成金」
雇用関係助成金の種類
雇用にかかわる助成金は複数種類用意されています。
A. 雇用維持関係の助成金
主に、景気や産業構造の変化など、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合の休業・教育訓練・出向などで労働者の雇用維持を図る事業者に対して助成
※ 休業手当等の一部2/3を助成(中小企業以外は1/2)など
B. 再就職支援関係の助成金
3種類が用意されています
1. 再就職支援コース
事業規模縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者に対し、再就職を実現するための支援を民間職業紹介者に委託等して行う事業主に対し、再就職が実現した場合に限り助成
※ 離職する企業の事業主が対象
2. 早期雇い入れ支援コース
事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされた労働者等を離職の翌日から3カ月以内に雇い入れた事業主に対して助成
※ 再就職先企業の事業主が対象
3. 中途採用拡大コース
中途採用者の雇用管理制度を整備したうえで、中途採用者の採用を拡大(①中途採用率の向上、または②45歳以上を初めて雇用)させた事業主に対して助成
※ 中途採用率拡大助成とあわせ、生産性向上助成も用意
C. 雇入れ関係の助成金
高年齢者や障害者など、就職困難者の雇用支援として、さまざまなケースを想定して助成金が用意されています。
主な例は下記のとおりです。
1. 特定就職困難者コース
高年齢者(60歳以上65歳未満)や障害者などの就職が特に困難な者を、ハローワークまたは民間職業紹介事業者等の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に対し助成
※ 雇用保険一般被保険者として雇い入れ、対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、当該雇用期間が継続して2年以上であることが確実と認められる
2. 生涯現役コース
65歳以上の離職者を、ハローワークまたは民間職業紹介事業者等の紹介により、1年以上継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に対して助成
※ 雇用保険の高年齢被保険者として雇い入れ、1年以上継続して雇用する事が確実と認められる
他にも、下記のようにさまざまなコースがあります。
3. 東日本大震災被災離職者の雇用支援に特化した「被災者雇用開発コース」
4. 「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」
5. 「三年以内既卒者等採用定着コース」
6. 「障害者初回雇用コース」
7. 「長期不安定雇用者雇用開発コース」
8. 「生活保護受給者雇用開発コース」
特に、6の「障害者初回雇用コース」については、障害者雇用促進法43条1項に規定される法定雇用障害者数が定められており、雇用が義務である以上、初回雇い入れ時にはぜひ助成を受けたいところです。
また、トライアル雇用助成金として、一定期間の試行雇用をする事業主に対して助成があります。
※ 一般・障害者・障害者短時間・若年、女性建設労働者等が対象
他にも、障害者雇用を後押し・支援するために、雇用環境整備に対する助成金の用意や、出生時や育児、介護に伴う離職を防ぐ支援を目的とした助成金、または離職後の再雇用を行った事業主に対する助成金など、減少する労働力人口をカバーするべく、女性の活躍を加速促進する助成金制度の整備が整ってきています。
まずは確認を!
これまでに例として挙げた助成金の種類も雇用に関する助成金のすべてではありません。
また、働き方改革等で取り沙汰されがちな労働条件の整備や生産性向上に対する助成金等、幅広く企業活動の支援のため助成金制度は整備されつつあります。
申請方法や必要要件などは各助成金によっても異なりますので、詳細確認を取る場合には、各都道府県労働局やハローワーク、高齢・障害・求職者雇用支援機構に問い合わせをしてみましょう。
子細な説明を受けることができます。
人材採用や職場環境整備、労働条件改善など、多岐にわたり用意されている助成金のうち、活用する事の出来る助成金を確認し、必要要件を満たしていればぜひ申請し、助成金を受給して効果的に業務を進めましょう。
<参考>
厚生労働省「雇用・労働分野の助成金のご案内」
厚生労働省「各種給付金申請先のご案内」