自分を追い込むイラショナル・ビリーフ
- 2018/2/9
- メンタルヘルス
イラショナル・ビリーフ (irrational belief)という言葉をご存知でしょうか。iBとも呼ばれるこの言葉に、私はカウンセリングの勉強のなかで出会いました。
アルバート・エリスという臨床心理学者が提唱した「論理療法」の中に出てくるもので、○○すべき、○○でなければならない、といった非合理的な信念をこう呼びます。
今回は、非合理的な信念である「イラショナル・ビリーフ」をわかりやすく解説します。
その考え方、論理性がありますか?
論理療法では「合理的な信念」をラショナル・ビリーフ、「非合理的な信念」をイラショナル・ビリーフとしています。
実はこの「○○すべき」「○○でなければならない」という考え方によって無気力になり、うつや病気になって苦しんでいる人は少なくありません。
人は単純な思い込みから、事実に対し、間違った受け止め方をしてしまうもの。
それは一体どういうことなのか?
エリスのABC理論を使って、簡単にご説明しましょう。
ABC理論
ABC理論または、ABCDE理論とも呼ばれる理論ですが、それぞれ下記のような意味を持ちます。
A:Activating event(出来事や体験)
B:Belief(信念、受け取り方や感じ方)
C:Consequence(結果⇒感情・悩み・行動)
D:Dispute(反論・説得)
E:Effect(結果⇒Cと異なる感情、行動へ)
イラショナルビリーフとは、この「B」が非合理的な信念であった場合に起こり得るものになります。
わかりやすくいうと、次のような思考です。
A⇒仕事でミスをした
B⇒ミスをするなんて社会人失格だ
C⇒もう会社に行けない、辞めたい
「ミスをするなんて社会人失格だ(失敗をしてはいけない)」という信念・思い込みにより「もう会社に行けない、辞めたい」という極端な結果を招いています。
その結果に対して、「ミスひとつで社会人失格なんて大げさではないか?」「その考え方に論理性はあるか?」と働きかけるのがDの反論・説得です。
それを受けて、Eの新しい結果・感情が生まれてきます。
A⇒仕事でミスをした
B⇒ミスをするなんて社会人失格だ
C⇒もう会社に行けない、辞めたい
D⇒だがまったくミスをしない人間がいるのか?
(B⇒そうだ、まったくミスをしない人間はいない)
E⇒同じミスを繰り返さないように気を付けよう
時には開き直る勇気を
事実にもとづいた論理的な判断を行うことにより、イラショナルビリーフがラショナル・ビリーフへ変わり前向きで健全な思考へと変化が起こります。
仕事や私生活でショックな出来事が起きた時、人は極端な思考回路になりがちですが、イラショナルビリーフの存在を自覚して、誤った結果を生まないように気を付けましょう。