大人もかかる!水ぼうそうに注意

子どもだけの病気じゃない

水ぼうそう(医学的には水痘(すいとう)と呼びます)と言えばほとんどの方が耳にしたことがある病気だと思います。
しかし、「子どもがかかる病気」「昔予防接種をした」その程度の認識である方も多いのではないでしょうか。
水ぼうそうは「水痘・帯状疱疹ウイルス」によって引き起こされる感染症で、毎年冬〜春にかけて多く見られます。
発熱や倦怠感と共に全身に3〜5mm程度の赤い発疹が次々とできます。
最初は赤い小さなポツポツだったものが、次第に水ぶくれのようになり、水ぶくれの中が膿になり、最後にかさぶたになったところで治癒とみなします。
ウイルスの潜伏期間が長いのが特徴で、感染してから発症まで約2週間ほどの期間があります。
また、感染力が非常に強いのも特徴で家族の中で誰かが発症した場合、90%以上の確率で家族も感染するとされています(抗体がない場合)。
ウイルス名からわかるとおり、水ぼうそうと帯状疱疹を引き起こすウイルスは実は同じものです。
水ぼうそうにかかると一旦症状はおさまり免疫がつきますが、ウイルスの一部がその後も神経に棲みつき、時間が経って免疫力が低下したタイミングなどに、今度は「帯状疱疹」として発症することがあります。
つまり、「水痘・帯状疱疹ウイルス」への1回目の感染が「水ぼうそう」、時間を経て2回目に発症する時は「帯状疱疹」となり、同じウイルスによる病気でも名前も症状も変わるのです。

大人になるほど重症に

「水ぼうそう=子どもの病気」という認識は一部正しく、一部間違いがあります。
現在でも水ぼうそうの感染のほとんどが9歳以下の子供で、不思議なことに年齢が若いほど症状が軽く、大きくなるほど症状が重くなります。
大人の中でも一定以上の世代では、「小さいうちにかかってしまった方がいい」という認識で、わざわざ水ぼうそうになった子の家にうつしてもらいに行った経験のある方もいるかもしれません。
ですが、大人でも水ぼうそうの抗体がなければもちろん感染しますし、大人になってからかかるほうが症状が重く、脳炎や肺炎を合併することがあるため注意が必要です。

予防接種したような……という人は要注意!

水ぼうそうは、ワクチンで防ぐことができる病気ですが、予防接種を受けた記憶が曖昧な方も多いのではないでしょうか?
現在は定期接種といって、国が接種を強く推奨し、ほとんどの場合が無料で受けられるようになっています。
しかし、平成26年までは任意接種といって、接種するかどうかは個人の判断となっていました。
さらに平成26年以前は1回接種が基本だったのが、現在では2回接種が基本となっており、そのような変遷から予防接種したかどうかの記憶が曖昧な方が多いように思います。
大人が接種する場合の費用は、全額自己負担になりますが、水ぼうそうにかかったことも予防接種したこともない方は、今からでも接種することをお勧めします。
また、家族が水ぼうそうにかかった場合に、接触から72時間以内にワクチンを接種すると、自分自身の発症を防いだり重症化を予防することができます。
ワクチンを接種した気がするけどちょっと曖昧だな…という方は、病院で「抗体価」を調べて、十分な抗体がついているか知ることもできます。
子供の病気と侮らず、大人ほど気をつけたい感染症であることを覚えておきましょう。

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田中 祥子株式会社ドクタートラスト 産業保健部 保健師

投稿者プロフィール

企業の健康管理室で働いていた経験をさまざまなかたちで皆さまにお届けします。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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