体脂肪には、体の蓄積部分によって内臓脂肪、皮下脂肪の2つがあり、特にメタボリックシンドロームでは”内臓脂肪”が注目されていることは皆さんすでにご存知かと思います。
さて、その気になる脂肪に、新たに危険な脂肪として第3の脂肪、”場違い脂肪”があることがわかってきました。
蓄積するはずのない場所に溜まる脂肪
私たちの身体で脂肪が蓄積するのは、主に以下の2つです。
①皮下脂肪:皮膚のすぐ下に溜まる脂肪
②内臓脂肪:腸間膜(ちょうかんまく)という腸を固定する膜に溜まる脂肪
上記に続く第3の脂肪、”場違い脂肪”は、その名のとおり、ほとんど脂肪が存在しない非脂肪組織に過剰に存在している脂肪のことで、医学的には「異所性(いしょせい)脂肪」と呼ばれています。
「第3の…」と聞くと、これまでまったくなかった新しい病気のようなイメージを持ちやすいですが、わかりやすい例を挙げると、「脂肪肝」がこの異所性脂肪に該当します。
「え?脂肪肝は、肝臓という内臓だから、内臓脂肪なんじゃないの?」という疑問がわいた方はいませんか?
内臓脂肪は、前述のとおり腸を支える腸間膜に溜まる脂肪であり、一つひとつの臓器に脂肪が入りこんでいるわけではありません。
ところが、異所性脂肪は臓器や筋肉に直接取り付き悪影響を与えるもので、心臓、肝臓、膵臓など今のところ14か所の臓器に溜まると報告されています。
痩せている人でも蓄積されている!?
異所性脂肪は、見た目は痩せている人でも蓄積されていることが少なくありません。
それは、太っている人より痩せている人のほうが、備わっている脂肪細胞の数が少ないことに理由があります。
食べ過ぎや運動不足などで消費されず残ったエネルギーは、脂肪として皮下脂肪に蓄えられます。
痩せている人にくらべて太った人には皮下脂肪細胞の数が多いので、より多くの脂肪をため込むことができる一方、痩せている人はそれほど多くの脂肪は蓄積できません。
結果、収容できなかった脂肪の向かう先が、内臓脂肪および第3の脂肪となってしまうのです。
第3の脂肪は運動で落としやすい
ここまでお伝えしてきた異所性脂肪ですが、上記3つの種類のなかで「最後に溜まって、最初に落ちる」という特徴を持っています。
運動をするとまず初めに燃焼される脂肪なので、数時間の運動で効果がみられるといわれています。
運動量をあらわす単位にメッツという尺度がありますが、これは活動や運動を行ったときに、安静にしている状態の何倍のカロリー消費をしているかをあらわしています。
厚生労働省は、1週間に23メッツの運動を基準として推奨していますが、具体的には以下のものが挙げられます。
・自転車こぎ⇒約2時間50分
・平泳ぎ⇒約2時間20分
・サッカー⇒約3時間20分
・筋トレ⇒約5時間45分
・ヨガ⇒約12時間50分
比較してみると、無酸素運動よりも有酸素運動の方がメッツが大きくなるのがおわかりでしょうか。
これらは、あくまで1週間の目安なので、1日で割って分割させればそれほど大変な運動にはならないかと思います。
また、日常生活における細かな活動(家事、動作など)のメッツは、一覧になっているこちらをご覧ください。
痩せているからと、これまで運動に関心のなかった人も、これからはぜひ運動を習慣化してはいかがでしょうか。
まずは仕事や家事など普段の生活のなかで、こまめに体を動かすことから始めましょう。