タバコと健康を考える1週間~世界禁煙デーと禁煙週間~

毎年5月31日はWHO(世界保健機関)が制定した「禁煙を推進するための記念日」です。
喫煙しない社会習慣を定着させることを目指して1989年に始まりました。
世界禁煙デーは国際デーの一つでもあり、国連をはじめ全世界の団体・個人に呼びかけるための日と定められています。

なぜ世界禁煙デーができたの?

世界禁煙デーが制定された1989年の世界の喫煙率は男女合計で36.1%でした。
喫煙は世界的に普及していたため成人の3人に1人が喫煙者であり、当時は女性の喫煙者も少なくなかったと言われています。

喫煙はがんや心臓病、脳卒中などさまざまな病気のリスクを高め、寿命を縮めます。
また、妊娠中の喫煙は早産や胎児発育遅延など胎児にも悪影響を及ぼします。
非喫煙者がタバコの煙を吸うこと(受動喫煙)によるリスクも無視できません。
頭痛やのどの痛み、息苦しさなどの症状が現れ、最終的に受動喫煙者の数%が受動喫煙が原因で死亡するといわれています。
こうした背景からWHO(世界保健機関)は毎年5月31日を「世界禁煙デー」と制定し、
タバコを吸わない習慣が社会で一般的になることを目指しています。

喫煙者は減っているの?

世界禁煙デーが制定されてから今年で35年になります。
WHO(世界保健機関)の「たばこ動向報告書」の最新推計によると、世界的にタバコの使用率は減少しており、2020年時点の世界喫煙率は男女合計で22.3%でした。
1989年の36.1%に比べると、13.8%も減少しており、5人に1人の喫煙者とタバコの使用削減に成功しています。

国別の喫煙率はどうなの?

2020年時点、世界では22.3%が喫煙者という結果でしたが、日本ではどのくらいの人が喫煙者なのでしょうか。国別の喫煙率を確認してみましょう。

~2020年WHO(世界保健機関)による世界喫煙率ランキング~
1位ナウル49.4%
2位キリバス41.6%
3位パプアニューギニア40.7%
<中略>
54位アメリカ24.9%
<中略>
86位日本20.2%
<中略>
165位ナイジェリア3.6%

出所元:WHO「World health statistics 2020: monitoring health for the SDGs, sustainable development goals」

上位3カ国喫煙率40%以上の喫煙率が高い理由として、経済的な要因と社会的な要因、文化的要因が混ざっていると考えられています。
喫煙率3位のパプアニューギニアではタバコを吸うことが社会的に許容されている文化があるようです。

・タバコが安価で手に入りやすい
・ストレス解消の1つ
・健康意識の低さ

逆に喫煙率の低い国では、宗教的要因や文化的要因もありますが、国の規制やタバコが高価で手が出にくいことが理由のようです。
日本は165位中86位と下位ではありますが、より喫煙率を下げるためには、価格の引き上げや国をあげての施策が必要だと考えられます。

禁煙週間

厚生労働省では世界禁煙デーに伴い、5月31日~6月6日までの1週間を禁煙週間と定めています。
2025年のテーマを定め、禁煙及び受動喫煙防止の普及啓発等を積極的に行っています。

禁煙週間のテーマ
「受動喫煙のない社会を目指して~私たちができることをみんなで考えよう~」

禁煙週間の取り組み

啓発活動
・ポスターやパンフレットの配布
・イベント開催(講演会・相談会・禁煙セミナーなど)
・SNSやインターネットでの情報発信

禁煙支援
・禁煙外来の紹介
・禁煙サポートグッズの配布

受動喫煙防止対策
・喫煙場所の指定
・喫煙禁止の周知


東京都では禁煙週間に合わせて、都庁などの都内施設を受動喫煙防止のシンボルカラー
「イエローグリーン」にライトアップされます。
イエローグリーンは、受動喫煙防止のシンボルカラーとされています。2001年に「煙を吸いたくない」という気持ちを表すため、長崎県佐世保市の市民のアイデアから生まれたイエローグリーンリボンがその色の発祥となっています。

出所元:東京都保健医療局 とうきょう健康ステーション「世界禁煙デー・禁煙週間の取組」

最後に

世界的に喫煙率が下降傾向にあり、日本国内でもさまざまな取り組みが行われていますが、まだまだ生活のすぐそばにタバコがあり、街中で煙の臭いがすることは多いのではないでしょうか。
「世界禁煙デー」や「禁煙週間」をきっかけにタバコを吸う方も、そうでない方も喫煙と健康を考える時間を持つことから始めてみませんか?
正しい知識をつけ、意識から変えていくことが日本の喫煙率低下につながるのではないでしょうか。

<参考>
・WHO「Tobacco use falling: WHO urges countries to invest in helping more people to quit tobacco」

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両田 真菜株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

前職は運輸業に勤めており健康管理やメンタルヘルスケアの大切さを知り、興味を持ちました。「健康で、楽しく元気にはたらく人を増やす」ことが出来るよう、日々勉強しわかりやすく発信していけたらと思います。よろしくお願い致します。

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