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- コロナ禍の今、改めて自殺対策を考えよう
「自殺」と聞いて、皆さんは何を思いますか。
自分は自殺するはずがない、自分には関係ない、周りで起こったことがないから身近に感じないなど、思いはさまざまだと思います。
最近では芸能人の自殺が立て続けに起こったこともあり、関心度が高まっていますが、やはりどこか他人事のように感じているのではないでしょうか。
実は私の周りで最近、自殺した方がいます。
事後対応に携わったこともあり、自殺・自殺対策について改めて考える機会となりました。
今回は、日本の自殺の現状やどう防いでいけばいいのかをお話します。
日本の自殺の現状
1998年以降、14年連続して日本国内の自殺者が3万人を超える状態が続いていましたが、2012年に15年ぶりに3万人を下回りました。
また、2010年以降は9年連続の減少となり、2018年は2万840人で37年ぶりに2万1,000人を下回っています。
しかしながら、日本の自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は下記のとおり、主要先進国7カ国の中で最も高くなっています。
日本:18.5
フランス・アメリカ:13.8
ドイツ:12.3
カナダ:11.5
イギリス:7.5
イタリア:6.6
自殺率が低下してきている一方で、若年層といわれる20歳未満は自殺死亡率が1998年以降ほとんど減少していない状態となります。
また、20代30代における死因の第1位が自殺であり、自殺死亡率も他の年代と比べて、ピーク時からの減り方が少なくなっているのが現状です。
自殺対策の目標
1998年以降、自殺者数が3万人を超え続けたことを受けて、2006年に「自殺対策基本法」が制定されました。
また、2016年には、都道府県、市町村に自殺対策計画を義務づけるなどする改正が行われました。
さらに、政府は推進すべき自殺対策の指針として2017年7月に「自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~」が閣議決定されました。
自殺総合対策大綱では、下記を目標に掲げています
・ 地域レベルの実践的な取組の更なる推進
・ 若者の自殺対策、勤務問題による自殺対策の更なる推進
・ 自殺死亡率を先進諸国の現在の水準まで減少することを目指し、2026年までに2015年比30%以上減少させることを目標とする
この目標の実現に向け、国、地方自治体、関係団体、民間団体などが連携・協働するため、加えて、中立・公正の立場から施策の実施状況、目標達成状況などを検証し、施策の効果などを評価するために「自殺総合対策の推進に関する有識者会議」を開催しています。
自殺を防ぐ「ゲートキーパー」
ゲートキーパーという言葉をご存知ですか?
ゲートキーパーとは、心理、社会問題や生活上の問題、健康上の問題を抱えている人など、自殺の危険を抱えた人々に気付き適切にかかわる人のことをいい、特別な資格はありません。
地域のかかりつけの医師、行政などの相談窓口、ボランティア、家族や同僚、友人など、支援が必要な人の周囲にいる人々が、それぞれの立場や職業によって異なるゲートキーパーの役割をもっています。
ゲートキーパーに共通してポイントとなる主な要素は「気付き」「傾聴」「つなぎ」「見守り」の4つです。
自殺対策では、悩んでいる人に寄り添い、関わりを通して「孤立・孤独」を防ぎ、支援することが重要です。
1人でも多くの方がゲートキーパーの意識を持ち、専門性の有無に関わらず、それぞれの立場でできることから進んで行動を起こしていくことが自殺対策につながると考えます。
<参考>
・ 厚生労働省HP