医療費をどう減らす?ジェネリック医薬品との付き合い方
- 2020/1/6
- 保健師
拡大するジェネリック医薬品のシェア
ジェネリック(後発)医薬品はすでにほとんどの方が見聞きしたことがあると思います。
実際の処方でもジェネリック医薬品が使用されることの方が多くなっています。
2019年3月時点の厚生労働省の調査で、各健保組合のジェネリック医薬品の使用割合を見てみると、多い健保組合で90%近く、低い健保組合ではまだ50%台というところもありますが、概ね75%程度になっており、ジェネリック医薬品がかなり普及していることがわかります。
国の目標数値は「2020年内に全体の80%以上」となっていますので、後少しというところでしょうか。
ジェネリック医薬品はなぜ安い?
一つの新薬を作り出すとき、最もお金が費やされているのが研究開発費です。
ゼロからまったく新しい薬を作り出すというのは、費用・労力・時間すべての面においてとても大変なことです。
そのため、薬にも20年という特許期間が設けられており、その間は新薬を作った製薬会社が独占的にその成分を含む医薬品を販売できます。
しかし、特許期間が過ぎた医薬品に関しては、他社が同じ有効成分を使用して「ジェネリック(後発)医薬品」として販売できるため、研究開発のコストが省かれる分、安価に医薬品を供給することができるのです。
ほぼすべてが同じ「オーソライズド・ジェネリック」
さらに最近では「オーソライズド・ジェネリック」というものがあります。
今までのジェネリック医薬品と何が違うのでしょうか?
今までのジェネリック医薬品は、主成分(有効成分)が先発医薬品と同じ、それ以外の部分(薬を作るための基材など)は別というものでした。
基本的に効果効能は先発医薬品と同等ですが、まれに「先発品では大丈夫だったのにジェネリックに変えたらアレルギーが出た」ということもありました。
これは、主成分以外に含まれているものに対してアレルギー反応を起こすためです。
しかし、オーソライズド・ジェネリックの場合主成分だけでなく、原薬・添加物・製法まで先発品と同じに製造されるため、今までのジェネリック医薬品よりも一層安心して使用できるといえます。
まだそれほど数が多いとは言えませんが、抗アレルギー薬・高血圧薬・糖尿病薬・気管支喘息薬・高脂血症薬・胃薬・抗生剤・抗がん剤など多岐に渡って発売されていて、今後も順次拡大されていくでしょう。
増え続ける日本の医療費
2018年に医療機関に支払われた概算医療費は前年度より3,000億円増えて42兆6,000億円となり、2年連続で過去最高額を更新しました。
高齢化に伴う医療費の増大、抗がん剤などの高額な医薬品、高額な治療なども一因となっています。
一人ひとりにできるのは小さなことですが、積極的にジェネリック医薬品を使用する、生活習慣病の予防に努めるなど、国民一人ひとりが医療費削減について考えていく時代がきています。