健康診断が始まると、「採血は苦手だ、できれば受けたくない」と相談されることがしばしばあります。
確かに採血は痛いですし、できるだけ避けたいものですよね。
採血をする側である保健師の私も「人が嫌がることは、あまりやりたくはない…」と思っています。
とはいえ、健康に関するさまざまなことがわかるため、採血が非常に重要であることもまた事実です。
今回は、採血によって何を知ることができるのか、そして採血で病気が見つかった事例を紹介します。
採血でわかること
健康診断における採血では、以下のことがわかります。
① 肝臓の状態:肝臓に異常がないか
② 貧血の状態:血液が足りているか
③ 血糖の状態:糖尿病の傾向がないか
④ 血液の中の脂質の状態:食生活などの生活習慣による体への影響
健康診断で体内の状況を知ることで、早期予防・早期治療が可能となり、悪化を防ぐことができます。
事例紹介
ここでは、健康診断における採血の結果を受けて病院を受診し、糖尿病の治療を開始した方の事例を紹介します。
【登場人物】Aさん
40代、男性、会社員
診断:糖尿病(採血にて空腹時の血糖値が300程度)
症状:のどの渇き、頻尿
Aさんが定期健康診断を受けたところ、採血で血糖値が高いことを指摘されました。
そこで病院を受診し、糖尿病と診断されました。
会社の付き合いで外食が多く、食習慣などが乱れていたことが主な原因だったようで、実際に体重も増加していました。
糖尿病と診断され入院を勧められた時はショックを受けていましたが、健康状態をはやく改善したいと、Aさんは病院での治療を希望します。
糖尿業の治療は基本的に食事療法、運動療法(生活習慣改善)で、医師が必要だと判断した際には薬物療法(飲み薬、注射)も行われます。
Aさんは食事療法、運動療法、薬物療法を同時にスタートさせ、2週間の入院で注射も薬も不要になるまで改善されました。
退院後の現在は、食事療法と運動療法だけを継続しています。
健康診断の採血の結果が早期治療につながったことで、悪化を防ぐことができたのだと思います。
早期予防、早期治療に欠かせない採血
早期予防、早期治療という観点から、採血はとても重要です!
これから健康診断を受診される皆さんの採血への見方が変われば幸いです。