女性のほうが多い不眠症、こうして改善しよう
- 2019/12/30
- 睡眠
女性の方が不眠症が多い
女性の1日の睡眠時間は、30代以降のほとんどの年代で男性よりも短く、睡眠時間6時間未満の方は、男性が36.1%に対し、女性は42.1%という結果があります。(1)
女性は仕事と家事の両立に加え、育児や介護負担といった現状から、十分な睡眠時間を確保できていないことが多いのが現実です。
また、不眠の症状別でみると、女性は入眠障害・中途覚醒の頻度が明らかに高いことがわかっています。(2)
つまり、不眠を訴える女性の多くで「寝つきが悪い」「途中で目が覚めてしまう」という症状がみられやすいというわけです。
余談ではありますが、男性は早朝覚醒の頻度が多く、特に中年以降に朝型化が強まります。
男性は、中年以降早く目が覚めやすくなる可能性が高まるということです。
女性に多い睡眠障害「むずむず脚症候群と睡眠時無呼吸症候群」
女性に多い睡眠障害で代表的ものは「むずむず脚症候群」と「睡眠時無呼吸症候群」です。
むずむず脚症候群とは、下肢の不快な感覚があり動かさずにはいられないという状態が、夕方から夜間にかけて強くなるという特徴があります。
その結果、夜に眠れなくなることが生じ得るのです。
原因はさまざまではありますが、一つに「鉄不足」があります。
そのためか、日本における疫学調査ではむずむず脚症候群の有病率は3.0%であり、男性2.5%にくらべ女性は3.5%と1.4倍多いことが報告されています。(3)
また、睡眠時無呼吸症候群の有病率は男性のほうが高いといわれています。
しかしその一方で、女性においては閉経後に頻度が上昇するということがわかっています。
その理由は、女性ホルモンの一つである「プロゲステロン」との関連が考えられています。
プロゲステロンは、上気道開大筋の筋活動を高める作用があるため、閉経後や更年期以降はホルモンバランスの変化から「いびき」や「睡眠時無呼吸症候群」の発生率が高くなります。
女性の不眠症の特徴
女性に不眠症が多いことを述べてきましたが、各ライフステージによって、「なぜ不眠になるのか」が異なってきます。
月経に伴う睡眠障害
月経周期に伴って、月経前症候群(PMS)では症状の一つとして「過眠」が挙げられます。
これは、2005年の国際睡眠障害分類第二版においても月経関連過眠症と取り上げられているものです。
月経周期に伴う不眠には、その人それぞれの睡眠周期や気分の変化に自分の生活を合わせるといったことが必要となってきます。
~月経前症候群(PMS)について~
更年期の睡眠障害
更年期は、月経異常や自律神経症状などさまざまな症状が出現しますが、この中でも「睡眠障害」は、改善すべき重要な症状の一つです。
睡眠時無呼吸症候群に関しては前述しましたが、ホルモンの関連だけでなくても、加齢により睡眠そのものが浅く短くなり、更年期障害の症状でもある「のぼせ」「発汗」「動悸」といったもので、質の良い睡眠に影響を及ぼします。
またこの時期は、子どもが独立したり、介護へのストレスがあったりすることなどに加え、身体の衰えによるさまざまなストレスに直面し、これらの心理的負担も睡眠にも関連してきます。
女性のための睡眠習慣改善
寝る前の時間はリラックスするように心がけましょう
良い睡眠には、環境づくりが大切になります。
自分にあったリラックス法を見つけ、寝る前の習慣にしてみましょう。
アロマテラピーや音楽、マインドフルネス瞑想がお勧めです。
自分にとって「心地が良い」「気持ちいい」と思うことを積極的に実践してみてください。
眠くなってから寝床に入りましょう
眠ろうとする意気込みは、頭を冴えさせて、寝つきを悪くしてしまいます。
また、寝床で眠くなるまで待つ、待っている間はスマホをいじる行為は、睡眠を遠のかせてしまいます。
寝床=眠る場所、と頭と身体に覚えさせるためにも「眠くなってから寝床に入る」。
今日の夜から心がけてみてください。
<参考>
(1)厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要」
(2) Kaneita Y, Ohida T, Uchiyama M, et all.「Excessive daytime sleepiness among Japanese general population」(Epidemiol 15. 1-8, 2005)
(3) Enomoto M, Lan LI, Aritake S, Nagase Y, Kaji T, Tagaya H.「Restless legs syndrome and its correlation with other sleep problems in the general adult population of Japan」(Sleep and Biological Rhythms. 2006;4:153-159)