週1回以上の運動を推奨~「健康経営会議2019」レポート~
- 2019/10/1
- 産保新聞ニュース
2019年8月28日、東京の経団連会館にて「健康経営会議2019」が開催されました。
健康経営会議とは?
健康経営会議とは、企業や労働組合、健保組合、自治体を対象とし、最新の健康経営情報を届けるためにセミナーやパネルディスカッションを行うイベントで、毎年夏に経団連会館で開催されています。
今回は「Powerful step toward the future!-健康が未来を拓く-」をテーマとして、東京オリンピックを目前としたスポーツの日常への普及、健康寿命の延伸、次世代のヘルスケアについてのセミナーや、健康投資についてのディスカッションが行われました。
「健康経営会議2019」のプログラム
講演1「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会のレガシー」鈴木大地氏(スポーツ庁長官)
講演2「2040年を展望した日本の健康づくりへの取組」鈴木康裕氏(厚生労働省医務技監)
講演3「生涯現役社会の実現に向けて」藤木俊光氏(経済産業省商務情報政策局商務・サービス審議官)
パネルディスカッション「Value Based Kenkoukeiei」-健康投資の見える化に向けて-」
キーノートスピーチ:森晃爾氏(産業医科大学教授)
モデレーター:岡田邦夫氏(NPO法人健康経営研究会理事長)
パネリスト:西川和見氏(経済産業省ヘルスケア産業課長)、松本健氏(株式会社三菱ケミカルホールディングス常務執行役員、経営戦略部門ヘルスケア戦略室長)
以下では、プログラムのうち、鈴木大地スポーツ庁長官による講演の内容をお届けします。
2020年オリンピック・パラリンピック東京大会のレガシー
スポーツ基本計画
文部科学省は、2017年度からの5年間を対象として、「スポーツ基本計画(第2期)」を策定し、中長期的な基本方針として、スポーツで「人生が変わる!」「社会を変える!」「世界と繋がる!」「未来を創る!」を掲げています。
この基本方針に基づき、日本のスポーツ市場規模を現状の5.5兆円から15兆円まで拡大しようという具体的数値目標があり、その目標達成のためには「スポーツ参画人口の拡大」「スポーツ市場の拡大」「スポーツ環境の改善」の好循環が必要となります。
鈴木長官は、その取っ掛かりである「スポーツ参画人口の拡大」のためには、スポーツの参画方法が「する」だけでなく「みる」、「ささえる」などもあるとして、また、競技スポーツへの参画はもちろん、レジャースポーツや日常の散歩もスポーツであると考えを普及させ、スポーツのハードルをひたすらに下げていく必要があると述べました。
スポーツと健康
スポーツと健康。
この2つは切っても切り離せない関係にあると言えますが、毎年実に5万人以上が運動不足を原因として死亡しているとされています。
そこでスポーツ基本計画では、成人の週1回以上のスポーツ実施率の向上を目指し、「ビジネスパーソン向けの運動習慣づくり」や「新しいスタイルのスポーツの開発・普及」を掲げています。
鈴木長官は、スポーツ実施率の向上が、その人の人生を変えるだけでなく、増えつつある我が国の国民医療費の抑制にもつながり、まさに「社会を変える」ことにつながると語りました。
スポーツ・イン・ライフの実現
成人の週1回のスポーツ実施率は、60歳以上の実施率とくらべて、軒並み50%前後と低くなっており、その理由として「仕事や家事が忙しいから」が圧倒的に多くなっています。
そのため、同計画ではスポーツ・イン・ライフと称して、日常の中に運動を意識的に取り込むことを推奨しています。
実際、鈴木長官自身も出勤前にスイミングをしたり、階段を意識的に上るようにしたりと、なるべく日常的に運動に取り組んでいるとのことでした。
また、「FUN+WALK PROJECT」というスポーツ庁主導の官民連携プロジェクトも2017年より始動しています。
そのほか、従業員の健康増進のためにスポーツの実施に向けた積極的な取組を行っている企業を「スポーツ・エール・カンパニー」として認定する制度も2017年より開始しています(2018年4月現在347社が認定)。
鈴木長官は、スポーツの普及に向けたこれら数々の運動が、前向きで活力ある社会と絆の強い世界を創り、「スポーツ立国」という未来を実現し、スポーツの価値をさらに高め、日本の未来にレガシー(遺産)を残す、とまとめました。
すべての講演資料は「健康経営会議2019」公式サイトにて公開されています。
下記参考サイトをご参照ください。
<参考>
「健康経営会議2019」公式サイト:http://www.kk-kaigi.com/event2019.html