陥りがちなヤマアラシのジレンマ
- 2019/9/11
- 産業カウンセラー
皆さんこんにちは、産業カウンセラーの冨田です。
今回は、メンタルヘルスの相談を受ける中で最も多い「職場の人間関係にまつわる相談」について紹介します。
心理的な距離
カウンセリングで最も多い相談は「職場の人間関係」です。
嫌いな人がいる、苦手な人がいる。
皆さんも、相性の悪さを感じる人が周囲にいることでしょう。
職場は自分で人員を選べませんので、合う人もいれば合わない人もいることは、当然のことです。
ストレス耐性が強いといわれる人は、こういった人との相性を「この人とはウマが合わないなぁ」で済ますことができます。
一方で、ストレスを感じやすい人は、相手に執着してしまう傾向があります。
「仲良くしないといけない」、「相手に合わせないといけない」、「相手を自分の思うように変えたい」なんて気持ち、持っていませんか?
相手のことをたくさん考えてしまう状態は、たとえ実際の接触頻度は低くても、心理的な距離はとても近い状態にあります。
ヤマアラシのジレンマ
「Hedgehog’s dilemma」という言葉を聞いたことがありますか?
日本語に訳すると、「ヤマアラシのジレンマ」もしくは「ハリネズミのジレンマ」といいます。
ドイツの哲学者、ショーペンハウアーの寓話ですが、有名なお話なのでご存知の方もいらっしゃるのでは。
簡単に解説すると、ある寒い冬の日に、ヤマアラシの群れがお互いの体温で寒さをしのごうとしました。
けれど、寄り添うとお互いの針を感じて、身体が離れてしまう。
温まりたい欲求で何度も寄り添いを繰り返すうちに、ついに最も適当な距離を見つけ出したというものです。
精神分析で有名なフロイトも、この例え話を用いて集団心理学の説明を行っていました。
「ヤマアラシのジレンマ」は人間関係の形成において、よく陥りがちなことなのです。
適切な距離感を
皆さんを悩ます多くのことにかかわっているのが「~べき」という考え方。
時には曖昧に、過剰にならず適度に物事に取り組むほうが心の健康は守られます。
人は変えられません。
執着して、相手を思い通りにしようとしてもうまくいかないものです。
そこにストレスを感じているなら、ヤマアラシのジレンマを思い出してみてください。
自分の行いが自分を苦しめていませんか?
多面的に見て、自分で引き起こしているストレスがないか、日々チェックしていきましょう。