「部下からやる気が感じられない」
上司という立場を経験した人なら一度は思い悩まれた経験があるのではないでしょうか。
「ゆとり世代だからしょうがない」
これからも一緒に仕事をするのに、こういった一言で片づけてしまうのはとてももったいないことです。
もしかしたら上司が原因で、部下の気力が失われている可能性もあるのでは……。
部下の無気力について、今日は一緒に考えてみたいと思います。
何が思い浮かびますか?
部下からやる気を奪っているものについて、思い浮かぶものはなんでしょう。
「時代」、あるいは「風潮」でしょうか。
それとも「給与」、「残業」といった待遇でしょうか。
色々な考えが頭に浮かんできます。
あなたは部下とどう接していますか?
ミスを注意したり、できていないことを教えたり、指導したりすることもありますよね。
上司として当然だと思います。
でもそれと同じくらい、できていること、うまくいったことを褒めてあげていますか?
実はこのポジティブな関わりが、部下の気力を引き出すカギなのです。
報われない努力と無気力の関係
ポジティブ心理学という言葉を聞いたことがあると思います。
比較的新しい研究ですが、昨今非常に注目されています。
心理学者セリグマンが提唱したものです。
セリグマン氏は、犬に対して条件付けを用いた研究を行い「学習性無力感」という現象を見つけました。
抵抗できない、また回避困難なストレスと抑圧の下に置かれた犬は、その状況から「何をしても意味がない」ということを学習することにより、逃れようとする努力すらやめてしまったのです。
<研究の内容>
① AとBの2匹の犬を、Aは工夫すれば逃げられる箱に、Bは逃げられない箱に入れる
② AとBの2匹に電気ショックを与える
③ AとBの2匹を、工夫すれば逃げられる箱に移す
④ 再度電気ショックを与える
<結果>
A⇒違う箱に変わっても電気ショックから逃げようと努力した
B⇒抵抗せずに電気ショックが終わるのを待つ
Bの犬は1回目の「努力しても電気ショックから逃げられない」という状況から「何をしても無駄」と学習をしてしまい、逃げられる箱に変わっても、逃げようとする努力を放棄してしまったのです。
この現象は、犬のみならず、ほかの動物、人間にも共通して認められています。
がんばっても意味がない、報われない状況が続くと、無気力に陥ってしまうのです。
この無気力状態をどうにかするためには、行動に対し、結果が伴ってくる必要があります。
無気力状態から脱するためにできること
Aの犬を思い出してください。
頑張れば報われると学習したことで、努力を続けました。
人間に置き換えてみると、がんばったことやうまくできたことに対してどうしますか?
「よくやった」と認めてあげるのです。
まずは部下に対して、関心をもってあげてください。
がんばれば報われる、努力を認めてもらえる、そんな環境を作ってみてください。
もちろん、ダメな部分は具体的に指摘していいのです。
後日改善されればその努力を認めてあげてください。
部下の無気力の原因は、「無関心」であることかもしれません。
行動に結果がともなわないと、部下は「何しても無駄」と学習してしまいます。
そうなる前に、あなたの一言で、部下の気力を引き出してみましょう。