若い年代も要注意! 脂質異常症

4月に入り、健康診断を予定されている方も多いのではないでしょうか?
脂質の問題は中高年の方の問題かと思っているかもしれませんが、それは違います!
脂質異常症は、肥満や糖尿病、心筋梗塞や脳梗塞などさまざまな病気へつながります。
最近は若い方や体型が標準的な方でも脂質の数値が高く、検査でひっかかる方が増えています。
今回は、若い方にも脂質の危険があることを踏まえ、改善策までお伝えしたいと思います。

◆脂質異常症とは

脂質異常症:血液中の脂質が異常になった状態のことで、過剰な脂質(コレステロール、中性脂肪)が血管壁に付着し、動脈硬化の原因となります。

【脂質のそれぞれの特徴】
・ LDLコレステロール:肝臓で合成された脂質を各細胞に運び、血管の壁にこびりついて動脈硬化を進めます。
・ HDLコレステロール:LDLコレステロールを排除し、余分な脂質を肝臓に戻します。
・ 中性脂肪(トリグリセライド):食事で摂取したエネルギーが使われない場合、中性脂肪が増加し、肝臓や全身の脂肪細胞の中に蓄えられます。

【脂質異常症の基準】
日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」では、脂質異常症の診断基準は下記のとおりとされています。

・ LDLコレステロール:     140㎎/dl以上  ⇒  高LDLコレステロール血症
・ 120~139㎎/dl  ⇒  境界域高LDLコレステロール血症
・ HDLコレステロール:      40㎎/dl   ⇒  低HDLコレステロール血症
・ 中性脂肪(トリグリセライド):  150㎎/dl   ⇒  高トリグリセライド血症
・ Non-HDLコレステロール:   170㎎/dl   ⇒  高non-HDLコレステロール血症
・ 150~169㎎/dl  ⇒  境界域non-HDLコレステロール血症

あくまで、診断基準であり、他の健診結果等では基準値の設定が異なります。
上記の検査結果いずれかに異常があれば、脂質異常症と呼ばれています。

◆なぜ若者も危険なのか!?

脂質異常症の原因は、過食、アルコールの過剰摂取、運動不足、肥満(内蔵肥満)、喫煙、ストレスがあります。
※ 脂質異常症は疾患による場合や、内服薬の副作用により発症する場合もあります。

若い年代層が脂質の値が異常値となる理由としては、食生活の乱れ運動不足が原因と考えられます。
若い年齢層の方は、主に以下が脂質異常症を引き起こす原因と考えられます。

・ 仕事が忙しく朝ぎりぎりまで寝て朝食を抜く
・ 仕事を終えるのが遅くなり夕食を作る時間がなくコンビニ弁当やファーストフードを購入し食べる
・ 仕事の疲れや、日々の忙しさに、運動への意識が低下する

特に若い年齢層は仕事の忙しさ、若いため、病気はまだ罹らないであろうと思うなど、自身の健康を後回しにしてしまいがちです。
しかし、若いころは身体の機能は元気ですが、脂質の異常は年を重ねるとさまざまな病気へつながるため、すぐに改善が必要です。

◆改善方法

改善方法としましては、脂質異常の原因となるものを取り除くことが必要なのですが、急に生活を変えるとかえってストレスになり、継続できません。
これからお伝えする改善方法のどれか一つでもいいので実施しましょう。

・ 食事の栄養バランスを意識しましょう
自分の毎日のご飯に、何が足りないのか確認し、コンビニでもいいので一品増やしてみることがお勧めです。
★ 食事のポイント
野菜や食物繊維を積極的に取りましょう。(野菜嫌いの方は、野菜ジュースからでも始めてみましょう!)
砂糖や肉の脂身、バターなどはなるべく控えましょう。(今まで食べてきた量に対して少し減らすことや、お菓子などは量を決めるなどしてみましょう!)

・ タバコは控えましょう
タバコはがんの危険因子だけではなく、脂質異常症や糖尿病など多くの病気に影響しています。
最終ゴールとしてタバコをやめることを目標に取り組んでいきましょう!

・ アルコールは適量を守りましょう
1日のお酒の適量とは、ビールなら中瓶1本(500ml)、日本酒なら1合、ウイスキーではシングル2杯となっています。

・ ストレスを溜めない
ストレスは溜めない。ということはなかなか難しいです。そのため、リフレッシュでき時間を作りましょう!
「ストレス発散法が食べること!!」の方は、週1回のお休みの日は好きなものを食べるなど、食事内容の全体的なバランスを考えて行ってみることをお勧めします。

・ 運動を行いましょう
実際に運動って無理だ……と思っていらっしゃる方!
筋トレなど身体強度の高い運動をイメージしていませんか?
もちろん筋トレも効果的ですが、継続できるものを選び、実践しましょう。
(運動例:1駅歩く、買い物行くときは歩く、階段を利用する)
日頃の生活を踏まえて、新たに挑戦できるものを選び行ってみてください。

以上改善策をお伝えしましたが、少しずつ変えてみること、自分が実施しやすいことから行うと、目標達成しやすいです。
達成は自分への自信へとつながりますので、無理をせずに、まずはできることから始めましょう!

以下、関連記事を載せていますので、ご興味のある方はどうぞ。
産業保健新聞「あなたの脂肪、隠れていませんか」:http://news.doctor-trust.co.jp/?p=32839
産業保健新聞「侮るなかれ!ウォーキングの効果」:http://news.doctor-trust.co.jp/?p=24695

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金城志織株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

総合病院で看護師を経験したうえで、大学時代より興味のあった予防医学の分野で活動したく、現在は産業保健師として働いています。幸福は健康から! そのために働きながら皆さん自身が健康に取り組める、また過ごせるような情報をお伝えしていきたいと思います。
【保有資格】看護師、保健師、第一種衛生管理者、人間ドック健診情報管理指導士
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
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