暖房が体調不良を引き起こす?

寒い季節、屋内で働く皆さんは、暖房をつけて快適な環境で仕事が行えるよう工夫されていると思います。
暖房をつけ、暖かい部屋にいると、なぜか頭痛や吐き気など体調が悪くなる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は暖房による身体症状とそのメカニズムをお伝えします。

暖房をつけた屋内の環境

冬は乾燥の季節であり、また屋内は屋外にくらべて乾燥しています。
屋内で暖房をつける際は外気が入らないよう締め切った環境が多いと思いますが、外気が入らないと、加湿する機会が減り、乾燥した環境になってしまいます。

暖房が頭痛や吐き気を引き起こす

暖房による頭痛や吐き気は脱水が原因となっています。
冬の時期に脱水? と思う方もいると思いますが、乾燥した環境では、皮膚や粘膜、呼吸により身体の水分が失われているのです。
そのため、暖房をつけた屋内では、知らず知らずに身体の水分が蒸発しており、脱水状態に陥ります。
脱水によって、体内の水分量が減っていると血液の量も減少します。 血液の量が減少すると、血流が悪くなり頭痛を引き起こします。
また、脱水は水分と一緒に「電解質」も減少しています。電解質は身体を健康な状態に保つため調節する役割を持っています。
この電解質が乱れてしまうと、消化液といって消化を助ける作用のある体液も減少してしまいます。
そうなると、消化器官にも悪影響を及ぼし、吐き気や胃のムカムカ感につながるのです。

冬の適切な環境基準

労働安全衛生法では、望ましい温度や湿度が決められています。
室温は17度から28度で、湿度は40%から70%となっています。
冬は乾燥によりインフルエンザウイルスも大流行します。
湿度が40%以上を保つことで、インフルエンザウイルスの活動の低下させるといわれています。
冬の乾燥する環境では、温度や湿度の管理は重要となるといえます。

暖房をつけた環境で快適に過ごすには

湿度管理
① 加湿器を利用する。
② 濡れたタオルやコップに入れた水を置いておく。
③ 観葉植物を置く。植物には適度な保温加湿作用があり、冷房や暖房による室温低下や空気乾燥を抑えてくれる効果があります。

暖房で頭痛や吐き気が起きた時の対処法
① こまめな水分補給
脱水症状をその場ですぐ治すのは難しいため、まずはこまめな水分補給をし、脱水症状を予防しましょう。

症状が起きてしまったら、まずは水分を補給しましょう。
その際の飲み物は水分と電解質が入った飲み物が好ましいです。スポーツドリンクでもいいですが、スポーツドリンクは糖分が多く、塩分(電解質)が少ないため、できれば経口補水液が望ましいです。

② 外の空気を吸う
長時間暖房のついた部屋にいた場合は、一度外の空気を吸いましょう。
外気に触れることによって部屋の湿度も増え、新鮮な空気も取り込めます。

寒い季節、暖房をつけて過ごす機会が多いと思いますが、暖房による身体への影響を理解し、健康に冬を過ごしていただければと思います。

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金城志織株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

総合病院で看護師を経験したうえで、大学時代より興味のあった予防医学の分野で活動したく、現在は産業保健師として働いています。幸福は健康から! そのために働きながら皆さん自身が健康に取り組める、また過ごせるような情報をお伝えしていきたいと思います。
【保有資格】看護師、保健師、第一種衛生管理者、人間ドック健診情報管理指導士
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
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