ハラスメント防止措置が企業義務になりました
- 2017/2/17
- 労働環境
これまで不利益な取り扱いの禁止が義務づけられていた妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについて、その防止措置も義務づけられたことをご存知でしょうか?
これは平成29年1月1日より、改正男女雇用機会均等法および改正育児・介護休業法が施行されたことにより発生しており、昨年のストレスチェックに続き大きな企業課題となっています。
防止措置は大きく分けると5つのポイントがあり、それぞれ次のとおりです。
防止措置5つのポイント
1.事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
まずは何がハラスメントとして該当するのか、どういったことが原因や発生の背景となり得るのかを情報提供し周知をしなければなりません。
また、ハラスメントに対して会社としてNOと言う方針を出し、違反したものには処分があることを就業規則に規定し、周知しなければなりません。
そして啓発活動として、管理職に対するセミナーの実施や会社が用意した制度を利用できることをしっかりと案内しましょう。
2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
ハラスメント問題は当事者同士が話し合って済む問題ではなく、会社として受皿を用意する必要があります。
そのために相談窓口の設置が求められています。
しかし、ただ窓口を設置すればよいというわけではなく、窓口担当者が適切に対応できるようにスキルを持っていなければなりません。
人事部や総務部が窓口となって相談を受け付けても何も解決にならないということになれば、社員からの信用が失墜するだけです。
また、ハラスメントが現実にはなかったとしても、それに近しい相談には真摯に対応することも求められます。
相談窓口に関連しては、東京海上日動リスクコンサルティング株式会社が厚生労働省より委託されパワーハラスメントの実態調査を行った結果、相談窓口は全体で70%超の企業が社内に設置していると回答していますが、
その実、パワーハラスメントを受けた後にどう対応したかという質問に対して、社内の相談窓口へ相談した件数は全体で1.8%となっています。
社内窓口は、どうしても会社へ知られてしまうという恐怖心から敬遠されているといえるため、効果的な窓口の設置を考慮する必要があります。
3.職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
防止措置を講じていても残念ながら発生してしまった場合は、その後の速やかな対応が必要です。
対応としては、まずは事実確認が先決であり、その後に被害者に対するケアが重要となってきます。
また、ハラスメントでは社内に行為者も存在するため、1で周知しておいた処分等の措置を適正に行うことも必要となります。
最後に、もしハラスメントについて発生の事実がなく誤報であったとしても、その問題に対してなぜそのようなことになったか原因を特定し、再発の防止策を講じましょう。
4.職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置
ハラスメントが発生する職場では、十分な制度が整っていないことも課題となります。
たとえば、育児休業や時短勤務をする社員の周りにしわ寄せがきて、当該社員に対して不満を持つようになると、その後の復帰に悪影響を与えてしまう危険性もあります。
会社としてはそういった状況にならないように、業務配分や配置転換などカバーできる体制を整備することが必要となります。
5.あわせて講ずべき措置
ハラスメント問題の解決が困難な理由のひとつは、同じ社内に被害者と行為者がいることです。
被害者のプライバシーはもちろん、行為者のプライバシーを守ることも必要であり、他の人の前でハラスメントの事実確認を行うことはもっての外です。
また、ハラスメントの行為者が、事実確認に協力を行った部下に不利益な取り扱いを行わないよう、会社として規律をもって事前に対処を行う必要があります。
新たな企業課題としてのハラスメント
これまでもハラスメント問題は大きな企業課題として、対応を迫られてきましたが、今後はより一層未然に防ぐ手立てに注力が必要となってきます。
ハリボテの対策ではいざ問題が起こった場合に対処ができないため、人事部・総務部としては昨年のストレスチェックに続き、ハラスメントに対しての知識を習得することが必要不可欠となってくるでしょう。
厚生労働省HP
職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!(パンフレット)