平成 27 年の労働災害発生状況の確定値公表
厚生労働省は、先日平成 27 年の労働災害発生状況についての取りまとめを公表しました。
平成27年度の労働災害発生状況として注目すべき点としては、「死亡災害・死傷災害・重大災害」の発生件数が、過去最少となり特に統計を取り始めて以来、
死亡災害の発生件数が、初めて1,000人を下回りました。
平成27年の労働災害発生状況の概要
以下、厚労省からの公表結果の転記となります。
1 死亡災害発生状況
労働災害による死亡者数は972人で、平成26年の1,057人に比べ85人(8.0%)減となり、統計を取り始めて以来、初めて1,000人を下回った。死亡者数が多い業種は、建設業:327人(前年比50人・13.3%減)、製造業:160人(同20人・11.1%減)、陸上貨物運送事業:125人(同7人・5.3%減)となっている。
2 死傷災害発生状況
労働災害による死傷者数(死亡・休業4日以上)は116,311人で、平成26年の119,535人に比べ3,224人(2.7%)の減少となった。
死傷者数が多い業種は、製造業:26,391人(前年比1,061人・3.9%減)、商業:17,150人(同355人・2.0%減)、建設業:15,584人(同1,600 人・9.3%減)、陸上貨物運送事業:13,885人(同325人・2.3%減)となっている。
3 重大災害発生状況
一度に3人以上が被災する重大災害は278件で、平成26年の292件に比べ14件(4.8%)の減少となった。
4 事故の型別による死亡災害・死傷災害発生状況
(1) 死亡災害
高所からの「墜落・転落」による災害が248人(前年比15人・5.7%減)、「交通事故(道路)」が189人(同43人・18.5%減)、機械などによる「はさまれ・巻き込まれ」が128人(同23人・15.2%減)となった。
(2) 死傷災害
つまずきなどによる「転倒」が25,949人(前年比1,033人・3.8%減)、高所からの「墜落・転落」が19,906人(同645人・3.1%減)、機械などによる「はさまれ・巻き込まれ」が14,513人(同725人・4.8%減)となった。
(3) 重大災害
「交通事故」が132件(前年比15件・10.2%減)、一酸化炭素中毒や化学物質による薬傷などの「中毒・薬傷」が54件(同4件・8.0%増)、
火災などによる「火災・高熱物」が15件(同1件・7.1%増)となった。
平成27年の労働災害発生のとりまとめ
上記の通り27年度は、統計を取り始めて以来、初めて 1,000 人を下回っただけでなく、平成 25 年度から平成 29 年度までを計画期間とする第 12次労働災害防止計画(以下「12次防」という。)の災害減少目標の水準に達しており、これは、産業界をはじめ各実施主体の労働災害防止に向けた継続的な取組が実を結んだものと評価できます。
一方、死亡災害と同様の災害減少目標を掲げている死傷災害では、
第三次産業の一部の業種で増加傾向が見られるなど、十分な減少傾向にあるとは言えない現状にあります。
第三次産業については、平成 27年1月から「STOP!転倒災害プロジェクト」を展開しており、引き続き、小売業などの第三次産業を含むすべての業界に対して、職場の総点検を要請するなど、各事業所におけるリスクアセスメントの推進を図っていく必要があります。
<27年平成27年の労働災害発生状況詳細資料>
<STOP!転倒災害プロジェクト>