「まさか」を防ぐ。定期的に見直したい、我が家のセーフティチェック

私たちが一日の大半を過ごし、最もリラックスできる場所である「家」。そこは本当に安全な場所でしょうか。

実は、厚生労働省の人口動態統計などを見ても、不慮の事故による死亡者数は、交通事故による死亡者数を大きく上回る状況が続いています。
「住み慣れた我が家だから大丈夫」という油断の中にこそ、予期せぬ「まさか」の事態が潜んでいるのです。

また、近年はテレワーク(在宅勤務)が定着したことで、自宅は「生活の場」であると同時に「働く場」にもなっています。
職場と同じように自宅の環境にも目を向け、安全管理(5S:整理・整頓・清掃・清潔・習慣)の視点を取り入れることが大切です。

特にリスクが高まりやすい「子ども」と「高齢者」の視点に立って、見直したいポイントを整理しました。

高齢者の「転倒・転落」を防ぐチェック

家庭内事故のなかでも、高齢者に圧倒的に多いのが「転倒・転落」です。加齢に伴う筋力やバランス能力の低下により、若い頃には気にも留めなかったわずかな段差や障害物が、骨折や寝たきりにつながる重大な事故の原因になります。

  • 床にモノを直置きしていないか
    リビングや廊下に、新聞紙、雑誌、コード類、脱ぎっぱなしの衣類などが散乱していませんか。特に電気コードは足を引っ掛けやすいため、壁際に固定するか、コードカバーで覆う対策が必要です。
  • 小さな段差や滑りやすい敷物はないか
    和室と洋室の境目にある数ミリから数センチの段差こそ、最もつまずきやすいポイントです。また、玄関マットやキッチンの足元マットが滑りやすい場合は、裏面に滑り止めシートを貼るか、思い切って撤去することを検討しましょう。
  • 夜間の動線に明かりはあるか
    夜中にトイレへ立つ際、暗闇での移動は転倒リスクが跳ね上がります。足元灯(フットライト)や、人の動きを感知して点灯するセンサーライトを廊下や階段に設置するのが効果的です。

子どもの「誤飲・窒息・溺水」を防ぐチェック

好奇心旺盛で、何でも口に入れたり、大人の真似をしたりする子どもたち。子どもの目線は大人よりもはるかに低く、大人が想像もしない行動に出ることがあります。

  • 小さなモノが手の届く場所にないか
    乳幼児は何でも口に入れて確かめようとします。特に直径39ミリ以下のモノ(トイレットペーパーの芯を通る大きさのモノ)は、誤って飲み込み、窒息を引き起こす危険があります。タバコ、医薬品、コイン電池、ボタン、小さな文房具などは、床から1メートル以上の高さにある鍵付きの棚などに保管しましょう。
  • ベランダや窓辺に「足場」になるモノはないか
    子どもの転落事故は、窓辺やベランダの近くに置かれた家具やエアコンの室外機、ゴミ箱などを踏み台にして発生します。窓やベランダの近くには、足場になるようなモノを絶対に置かないように徹底してください。また、子どもの手が届かない高い位置に補助錠を取り付けることも有効です。
  • お風呂の水は使い終わったらすぐに抜いているか
    子どもはわずか数センチの水深でも、静かに溺れてしまいます。浴室への出入り口には鍵をかけ、浴槽の残り湯は洗濯に使う場合を除いて、使い終わったらすぐに抜く習慣をつけましょう。

近年、子育て支援の一環として事業所内保育室や、職場に子どもを同伴できるスペースを設ける企業が増えています。
家庭内だけでなく、こうした職場のキッズスペースでも「子どもの目線」に立った安全点検が不可欠です。

小物の放置がないか、配線が露出していないか、出入り口の施錠管理が徹底されているかなど、定期的な巡視・チェックを行いましょう。

家族全員を守る「火災・家電」のチェック

最後に、季節を問わず発生する恐れがあり、一瞬にしてすべてを奪い去る火災への備えです。

  • コンセントにホコリが溜まっていないか(トラッキング現象)
    家具の裏など、長期間差しっぱなしになっているプラグの隙間にホコリが溜まり、そこに湿気が加わることで火花が散って発火する「トラッキング現象」が多発しています。定期的に掃除を行い、乾いた布でホコリを拭き取りましょう。
  • 住宅用火災警報器は正常に作動するか
    多くの自治体で設置が義務付けられている住宅用火災警報器ですが、電池切れや機器の寿命(約10年が目安)を迎えているケースが散見されます。国民安全の日を機に、本体のボタンを押すか紐を引っ張って、作動テストを行ってください。

安全は「与えられるもの」ではなく「つくるもの」

事故が起きたとき、私たちは「運が悪かった」「まさかこんなことで」と思ってしまいがちです。
しかし、家庭内の事故の多くは、事前の「環境づくり」によって未然に防ぐこと、あるいは被害を最小限に抑えることが可能です。
職場の安全衛生委員会などで危険予知や環境改善を行うのと同様に、一度チェックして終わりにするのではなく、季節の変わり目や家族のライフステージが変わるタイミングで、定期的に見直す「習慣」にすることこそが大切です。

ぜひご家族みんなで家の中をぐるりと見回してみてください。
小さな気づきと少しの模様替えが、あなたの大切な家族の命と健やかな日常を守る第一歩になります。

<参考>
消費者庁「こどもの事故防止」
消費者庁「みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故」
厚生労働省「令和4年(2022年)人口動態統計(確定数)の概況『不慮の事故による死亡』」

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藤澤 志緒里株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

大学では、精神疾患を中心に社会福祉について学び、卒業後は生命保険会社に勤務しておりました。少子高齢化が進み、働き手が必要な世の中で「健康で、楽しく元気にはたらく人を増やす」ことはとても重要だと感じています。いきいきと日々を過ごせるよう仕事だけではなく、日常生活にも役立つような情報を皆さまに共有できればと思います。

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