死傷者数は過去20年で最多!2022年度「労働災害発生状況」

死傷者数は過去20年で最多

2023年5月23日、厚生労働省が2022年度の労働災害発生状況を発表しました。
2022年1月から12月までの労働災害による死亡者数は774人(前年比-4人)と過去最少となりました(新型コロナウイルス感染症へのり患によるものを除く)。
また、休業4日以上の死傷者数は132,355人(前年比+1,769人)と過去20年で最も多くなったことがわかりました。

なお、「休業4日以上の死傷者数」とは、勤務中もしくは通勤中の事故が原因で休業した日が4日以上の亡くなった人、怪我を負った人を指し、休業日数は、労働災害発生日翌日以降から数えます。
また、ここには会社の所定休日も含みます。

2022年度の労災発生状況

■業種別労働災害発生状況

前年度と比較して、労働災害上の死亡者数が最も増加した業種は「製造業(+6.9%)、次いで「第三次産業(+6.5%)」でした。
反対に労働災害上の死亡者数が減少した業種は「林業(-6.7%)」でした。
第三次産業は主に「小売業」、「社会福祉施設」、「清掃・と畜業、飲食店」が含まれます。
次に、休業4日以上の死傷者数が特に増加した業種は「飲食店(+11.8%)」「清掃・と畜業(+5.0%)」「その他の第三次産業(+2.8%)」で、反対に減少した業種は、「建設業(-2.6%)」「小売業(-0.1%)」「社会福祉施設(-0.1%)」でした。
特に増加した「飲食店」や「清掃・と畜業」は「第三次産業」に分類される産業であり、「第三次工業」全体は、休業4日以上の死傷者数を前年と比較すると2.4%増加しました。
このことから、「第三次工業」の労働災害による死亡者数、休業4日以上の死傷者数は共に増加していることがわかります。

■事故の型別労働災害発生状況

次に、事故別の死亡者数、休業4日以上の死傷者数です。
前年度と比較して事故別死亡者数で最も増加したのが「崩壊・倒壊(+23.8%)」、次いで「飛来・落下(+10.5%)」「墜落・転落(+7.8%)」です。
「交通事故(道路)」は昨年度と変わりがありませんでした。
反対に死亡者数が減少したのが「はさまれ・巻き込まれ(-14.8%)」「その他(-7.7%)」「激突され(-4.8%)」でした。
休業4日以上の死傷者数では、最も増加したのが「転倒(+4.8%)」、次いで「激突(+3.1%)」「その他(+2.1%)」「はさまれ・巻き込まれ(+0.6%)」「動作の反動・無理な動作(+0.5%)」でした。

■高年齢労働者の労働災害発生状況

昨今、定年退職の年齢引き上げにより、60歳を超えても働く人が増えています。
2022年度の雇用者全体に占める60歳以上の高齢者の占める割合は18.4%、労働災害による休業4日以上の死傷者数に占める60歳以上の高齢者の占める割合は28.7%でした。
高齢女性の「転倒」災害発生率は特に高く、60代以上の女性の平均発生率は20代女性の平均発生率の約15倍です。
また、「墜落・転落」災害発生は高齢男性に多く、60代以上の男性の平均発生率は20代男性平均発生率の約3倍です。
年齢が高くなればなるほど、休業見込み期間は長期化する傾向にあるため、年齢の上昇に着目した対策は、転倒、墜落・転落で特に重要な課題と言えます。
はしごや脚立の使用方法を見直す、通路を遮るような荷物は片づける、フローリングに滑り止めマットを敷く、ヒールの高い靴を避けスニーカー通勤を勧めるなど、事故防止策が欠かせません。

まとめ

労働災害は、普段から気を付けていれば防げるものが多く、焦りや疲労の蓄積が原因で発生するものが多い印象です。
普段と異なる状況こそ、いつも以上に身の回りに気を配ることが大切だと言えます。
また、運動不足から筋力が低下し、若いころに比べてつまずきやすくなった、転びやすくなったという人もいるでしょう。
加齢により怪我の治りにも時間がかかります。作業前には準備運動をする、安定した靴を履くなどちょっとしたことが事故の防止につながるので、ケガなく元気に過ごすためにも一人ひとりが意識をするのが重要です。

<参考>
・ 厚生労働省「令和4年の労働災害発生状況を公表」

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藤澤 志緒里株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

大学では、精神疾患を中心に社会福祉について学び、卒業後は生命保険会社に勤務しておりました。少子高齢化が進み、働き手が必要な世の中で「健康で、楽しく元気にはたらく人を増やす」ことはとても重要だと感じています。いきいきと日々を過ごせるよう仕事だけではなく、日常生活にも役立つような情報を皆さまに共有できればと思います。

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