正社員しか健康管理しなくていい?派遣社員やパート・アルバイトの産業保健

「産業保健新聞」運営元、ドクタートラストの飯島です。
企業さまとお打ち合わせする際、派遣社員やパート・アルバイトへの対応についてご質問をいただくことがあります。
今回は、派遣社員やパート・アルバイトの産業保健法令上の扱いについて、わかりやすく解説します。

派遣社員やパートは産業医選任義務の対象に含まれるのか

労働安全衛生法13条により、「常時50人以上の労働者を使用する事業場は、産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければならない」とされています。
ここでいう「労働者」には派遣社員(派遣先雇用でも)やパート・アルバイトも含まれます。
つまり、派遣社員なども含めて何人がその事業場で常時働くかで産業医の選任義務の有無が決まります。
たとえば飲食店などで、正社員は数人しかいなくても、週1回などどの少ない回数で継続して雇用している状態の派遣社員やパート・アルバイトの方を合わせて50名を超える場合は、産業医の選任義務が発生することになるため注意が必要です。
産業医に相談する事項が生じた場合は、派遣社員やパート・アルバイト関係なく対応する必要があります。

派遣社員やパートはストレスチェックの対象に含まれるのか

次にストレスチェックについて説明します。ストレスチェックの受検対象事業場は、産業医と同様、労働者数 50 人以上の事業場において実施が義務付づけられています。
この場合の「労働者」には、常態として使用していれば派遣社員(派遣先雇用でも)やパート・アルバイトも含まれます。

また、ストレスチェックの受検対象者は、正社員はもちろんですが、以下2つの条件を満たしている派遣社員やパート・アルバイトの方も含まれます。

・ 期間の定めのない契約により使用される者であること。または、1年以上使用されることが予定されている者、及び更新により1年以上使用されている者。
・ その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上であること。

派遣社員やパートは健康診断の対象に含まれるのか

次に健康診断について説明します。
健康診断には一般健康診断と特殊健康診断の2種類があります。
一般健康診断は労働安全衛生法第66条第1項に定められている健康診断で、労働者の一般的な健康状態を把握するための健康診断であり、雇用元(派遣元)に実施が義務づけられています。
また、一般健康診断はいくつか種類があります。
以下では主要なものを簡単に紹介します。

① 雇入時の健康診断

常時使用する労働者を対象に雇入れの際に実施します。なお、雇入れ時の健康診断では、健康診断項目の省略はありません。

② 定期健康診断

定期健康診断実施の対象事業者は全事業者です。1年以内ごとに1回定期的に行う必要があります。
その中で対象となる労働者は、ストレスチェックと同様、契約期間に定めのないまたは1年以上の労働者、かつ、当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上である者です。
前者を満たしているならば、1週間の所定労働時間数が2分1以上である者にも、一般健康診断を実施するのが望ましいとされています。
なお、産業医やストレスチェックと同様、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、「定期健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署長宛に提出する必要があります。

③ 特定業務従事者の健康診断

深夜業など、労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる業務に常時従事する労働者には、特殊健康診断を実施します。
こちらは、定期健康診断と違い、配置換えの際および6か月に1回定期的に行う必要があります。
特殊健康診断は、労働衛生対策上、特に有害であるといわれている業務に従事する労働者を対象として実施する健康診断で、有害業務に起因する健康障害の状況を調べる健康診断であり、派遣社員の場合、派遣先に実施義務があります。一
いままで、実際に雇用契約を結んでいる派遣元が産業保健の実施者として実施していましたが、こちらは派遣先に義務付けられている点がポイントです。雇入れ時、配置換えの際および6か月以内(一部3か月以内)ごとに1回定期的に行う必要があります。

このように人手不足や多様な働き方が一般化してきた現在、正社員と同様、派遣社員やパート・アルバイトの雇用においても、企業が責任をもって労働者の健康管理を実施することが求められています。
雇用形態が違っていても自社で働いてくれている大事な一社員として、健康で元気に働けるよう、取り組みを続けていきましょう。

<参考資料>
・ 厚生労働省「派遣労働者の労働条件・安全衛生の確保のために」
・ 厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」
・ 厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~」
・ 厚生労働省東京労働局「労働安全衛生関係Q16」

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飯島瑠花株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

周りに労働環境が良くない人が多く、それを見ていて労働環境改善に興味を持ちました。また、自分自身も健康に働きたいと思い、ドクタートラストに2022年新卒で入社しました。

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