「なんか違う」を防ぐ産業医の選び方~契約前に確認すべき条件と企業方針の整理術~
- 2026/6/22
- 産業医

「産業保健新聞」運営元、ドクタートラストの杉本です。
ふだん多くの企業に産業医をご紹介させていただいている中で、「産業医の選び方がわからない」という企業や、条件や方針が合わずお困りの企業からご相談をいただくケースが多くございます。
今回は、そういった企業さま向けに、産業医を選ぶ際に押さえておくべきポイントについて解説していきます。
産業医に求める条件を整理する
以下7つの項目を基に求める産業医の条件やイメージを固めましょう。
① 訪問頻度、時間
現状やお願いしたい業務を踏まえて産業医に対応していただく時間を決めておきましょう。
【例】
・衛生委員会の出席(30分)+職場巡視(15分)+面談や健診判定の確保時間(15分)=毎月1回1時間の訪問
② 対応日程
担当者や衛生委員会メンバーの負担をできる限り減らすため、集まりやすい日程や調整しやすい曜日をあらかじめ決めておきましょう。
【例】
・第2週目の水曜、木曜日の午後
③ 予算感
事前に予算を決めておきましょう。相場感がわからない場合は一度、産業医紹介会社に見積もりを出してもらうと良いでしょう。
【例】
・予算取り的に年間100万円以下にしたい。
・最低限で低価格で実施したい。
・予算内で出来る限り条件に合う先生を選びたい。
④ 依頼する業務
法定の産業医業務を基本として、それ以外で依頼したい業務についても確認しておきましょう。
【例】
・衛生講話をしてもらう
(衛生講話とは:衛生委員会で医学的知見を基に感染症や季節のトピックの話を10分程度してもらうこと)
・ストレスチェックや健康診断の結果を分析してもらう、など
⑤ 専門科目
会社の課題感にあわせて産業医の専門科目を考えておきましょう。
【例】
・体調不良による休みが増えてきた→循環器内科
・メンタル不調による休職が多い→精神科、心療内科
・会社の産業保健体制を強化したい→産業医を専門にされている先生
⑥ 経験
会社の業種や状況に応じて、先生に必要な経験を決めておきましょう。
【例】
・初め衛生委員会を開催するので、立ち上げ経験のある先生。
・人材紹介会社で人の入れ替わりが多く、客先常駐の社員もいるので同業種での経験のある先生。
⑦ 人柄
従業員のパーソナリティにあわせて産業医の人柄を見ておきましょう。
【例】
・女性従業員が多いので相談しやすい雰囲気の先生。
・営業職や管理職との面談が多いため、ビジネスマナーや敬語に問題のない先生。
・自分のことを話すのが得意ではない社員が多いので聞き上手な先生。
企業方針の確認
以下3つの項目を基に、会社の方針に合う産業医を選びましょう。
① 会社の健康課題の解決方針
現在抱えている健康課題や今後の方針を明確にします。
【例】
・デスク業務が多く腰や目の痛みを訴える従業員が多いので対策を考えたい。
・繁忙期にメンタル不調者が多くなるので防ぎたい。
② 復職の判定についての方針
従業員の復職時の判断について会社方針と合っているか確認します。
【例】
・復職判断時に会社の就業規則や担当者の意向も踏まえて判断してほしい。
・主治医と従業員と会社の意見を基に中立的な立場で判断してほしい。
③ 会社の目指す方針
今後どのようなことを目標に運用していく方針かを確認します。
【例】
・まずは完璧な法令巡視を目指していきたい。
・健康経営優良法人の取得、継続を目指したい。
産業医を選任するうえで注意すべきポイント
条件整理や企業方針のポイントを整理しましたが、すべての項目を満たす産業医を見つけるのが難しい場合もあります。
そのような場合は「必須条件」、「希望条件」、「妥協できる条件」の3つに分けて、できる限り条件に合う産業医を見つけていくのが望ましいでしょう。
紹介会社を選ぶ際も、「産業医の条件」「予算感」「サポート体制」など、どこまで求めるかを整理したうえで選ぶことをおすすめします。
「なんか違う」を防ぐ
産業医選びは「資格を持っている先生を探すこと」が目的ではなく、「自社の課題や方針に合った先生を選ぶこと」が重要です。
産業医によって得意分野や対応スタイル、考え方は大きく異なります。
そのため、料金や距離だけで判断するのではなく、会社の運用方針や従業員との相性も含めて総合的に検討することをおすすめします。
また、実際に運用を開始してから「なんか違う」を防ぐためには、契約前の段階で業務内容や対応方針についてしっかり擦り合わせを行うことも大切です。
本記事が、これから産業医を選任される企業さまや、現在の運用を見直したい企業さまの参考になれば幸いです。
自社に合った産業医を選び、より良い産業保健体制の構築につなげていきましょう。
















