ストレスを増長する「マインドワンダリング」の怖さ
- 2016/7/23
- メンタルヘルス
思考のさまよい-マインドワンダリング
マインドワンダリングという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
意識が外部環境から内的思考に逸れることで、簡単にいうと、目の前の課題とはまったく関係のないことを考えている状態のことです。
仕事が終わって家でテレビを見ている時間に、ふと今日の会社での出来事が思い出され、あれこれと思いをめぐらせてしまう……ということはありませんか?
驚くことに、このようなマインドワンダリングに時間が費やされている時間は1日の約50%にもなるのです。
「今」この瞬間だけに意識を集中し生きるということが、いかに難しいかがわかるかと思います。
マイナス感情に囚われすぎてないか?
よいことを思い出すのはもちろん明日にとってプラスですが、モヤモヤと思い出し、嫌な気分になってしまうような場合は、自分でストレスを作っている状況です。
大抵、人がふと思いだすのは、自分にとってマイナスの出来事です。
それは本能的なもので、未来の危険を避けるための今も昔も同じ反応です。
しかしながら、現代のストレスは、昔と違って、生死にかかわるようなものはそうそうありません。
それなのに、それらと同じように思い出していては、いつまでたっても、ストレスが途切れることはありません。
いつの時代も、必要なのはあくまで適切な物事の振り返りです。
「どうしてそういう結果を招いたのか」
「今後できることはなにか」
そういった客観的な振り返りです。
一般的にストレスに関連して取り上げられるマインドワンダリングは、適切な物事の振り返りではなく、その時の自分のマイナスの感情を思い出してしまうのです。
たとえば、職場で上司に叱られたことを思い出し、「あんな言い方しなくてもいいじゃないか……」といったその時の感情が湧き出てきて、あたかも今目の前で怒られているかのうように落ち込んでしまうといった感じです。
しかし、待ってください。
思い出している「今この瞬間」は、実際には叱られていません。
それなのに、建設的な今後への対応に思いをめぐらせるのではなく、その時の感情に飲み込まれ、今の感情まで乱されてしまうのは、適切な思い出し方とはいえません。
過去に囚われるだけではなく、未来にも意識が向き、「明日も叱られたらどうしよう」と、まだ起こってないことであれこれ心配をしてしまい、ますます今の気持ちを落ち込ませてしまいます。
こうなると、今起こっていることではない、過去と未来に心が囚われ、マイナスの感情から抜け出せなくなり、「心ここにあらず」の状態になってしまいます。
情報社会、IT化が進んだ現代では、マイナスの出来事が思い出される引き金となるものも増えています。
ストレス社会を生きる現代の人たちにこそ、「今を生きる」という考え方がとても大切になってきています。
セルフケアは「今ここ」への集中から
マインドワンダリングの度合いによっては、自己のメンタルの状況に悪影響を及ぼしてしまいます。
マインドワンダリングは、思考のクセです。
ふっと湧いてくることを止めるのは現実的には難しいですが、感情が負のスパイラルに陥りそうなことに「気づき」、それを回避することはできます。
負のスパイラルに陥りそうなときに、とにかく意識を「今」に戻すことです。
現在、メンタルトレーニングとして脚光を浴びているマインドフルネスやルーティン。
どちらにも共通することは、「今ここに意識を集中させる」ということです。
過去の出来事は、もう消せません。
未来の出来事は、まだ実際に起こってもないことです。
具体的行動の対策ではなく、感情に振りまわされる場合は、「今」に意識を戻し、脳の暴走を自分で止めることが必要です。
思考は、そのクセに気づけば、きちんとコントロールできるのです。
生きる上で、ストレスを0にすることはできませんし、0にする必要もありません。
ただ、思考の休息時間を確保することは必要です。
マインドワンダリングで、不要にストレス状態の時間を長くするのは、健康にも、今後の対応にもよい結果をもたらしません。
悪いことは、その時にしっかり落ち込み、反省し、いつまでもその時の「感情」を引きずらない。
良いことも、その時に思いっきり喜ぶ。
たとえ良いことであっても、その時の感情を引きずり過ぎると、それはいつしか驕りになってしまうかもしれません。
あなたは1日の何%、「今」に集中して、今の感情を大切に生きているでしょうか?