現代の睡眠
ミシガン大学が2016年にインターネットで行った調査によると、日本の睡眠時間は「100か国中最下位」だったそうです。
主要100か国と日本人の睡眠時間を比較したとき、世界ワースト1位というほど、日本人の睡眠時間は少ない状況です。
このような悲しい結果となった背景の一つには、長時間労働があります。
ある研究によると、日本人正社員の労働時間は1980年代と比較し増加しているのですが、それと比例して睡眠時間が減少しているのです。
この事実からみえることは、「労働時間増加で減った余暇時間」を何に使うかと考えたとき、睡眠が削除されてしまう傾向にあるということ。
果たしてそれでよいのでしょうか。
答えは、ご想像の通り×です。
睡眠には休息、記憶の定着、ホルモンバランスの調整といった心身にとってとても大切な役割があり、睡眠が次の日のパフォーマンスを決めるといっても過言ではありません。
けれども、ほかの余暇時間を減らして、睡眠に時間を割くのは限度があって難しいと思う方も多いですよね。
そこで今回は、睡眠時間をより効率のよいものにするために大切な「睡眠と体温」についてお伝えさせていただきます。
睡眠と体温
睡眠は体温と、とても深く関連しています。
また、体温には身体内部の温度である「深部体温」、手足の温度である「皮膚体温」の2つがあります。
深部体温
深部体温は活動している日中は高め、ゆっくりしている夜は低めと、一日のなかで0.7℃程度の変化があります。
皮膚体温
一方で、皮膚体温は日中低め、夜間高めになります。
赤ちゃんが眠くなると手足が暖かくなるのはこのためです。
深部体温と皮膚体温の差を縮める
睡眠のポイントは、深部体温と皮膚体温の差にあります。
体温の調整をすることで、眠りへと導かれやすくなる、反対に眠気を冷ますことが可能になります。
では、深部体温と皮膚体温の差を縮めるためにはどのような方法があるのでしょうか。
睡眠のための体温調整方法
一番有効的なのは、入浴
体温調整のために、もっとも有効な方法は入浴です。
お風呂に入ると、深部体温と皮膚体温のどちらも上昇します。
深部体温には上昇した分以上に下げようとするはたらきがあるため、お風呂で上昇した体温がぐっと下がることで皮膚温度との差が縮まり、眠りを誘いやすくなります。
ここで注意しなければいけないのは、入浴するタイミングです。
一番のベストは寝る90分前に40℃程度で入浴を終えることです。
ただ、忙しくなかなか寝る90分前に入浴することが難しい方もいらっしゃるかと思います。
そのような場合は、深部体温が上がり過ぎないようにシャワーでさっと済ませることがお勧めです。
お風呂につからないと身体が温まらないという場合は、深部体温の上がり過ぎを防ぐ足湯を活用する「シャワー + 足湯」がお勧めです。
靴下をはいたまま寝ていませんか?
入浴以外で体温調整をする方法としては、「布団に入るときには靴下をはかない」などが挙げられます。
これから寒い季節がやってくるため、冷え性の方のなかには「足が冷たくて眠れない」という理由から布団に入るときも靴下を履いていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
実は、寝る直前まで足を温めていただくことは睡眠にとって良いことなのですが、布団にまで靴下を持ち込んでしまうことは深部体温が下がりにくくなってしまうということにつながり、逆効果なのです。
そのため、靴下は布団に入る前に脱ぐようにしましょう。
睡眠の質を調整するためには、体温調整に工夫を
翌日のパフォーマンスを上げるために非常に大切な睡眠。
仕事の状況・余暇時間の使い方の見直しを行い、睡眠時間の確保を行うこともまた非常に重要なことです。
ただ、忙しい現代社会、なかなか難しいのも現状です。
そのため、質のよい睡眠を得られるよう、就寝前の体温調整を見直してみませんか。