会社が倒産しても、未払賃金はもらえます!

会社が突然倒産! そんな時、負うリスクは…?

東京商工リサーチによると、2017年度に倒産した企業件数は8,405件とされています。
あなたの会社も突然倒産することが、ありえないとは言い切れません。

もちろん働いている会社が倒産すれば、当然あなたは失業することになります。
失業すると、突然の環境の変化や金銭的な負担からメンタル不調を引き起こしかねません。
実際、論文「不況・失業と自殺の関係についての一考察」(「日本労働研究雑誌」52巻5号)によれば、失業と自殺には相関関係があるようです。
そして、この相関関係の理由としては、失業によって金銭的困難に陥り、将来への展望が立てられなくなってしまうからだとされています。

すなわち、お金というのは自分のメンタルを安定させるのに不可欠ともいえる要素なんですね。

もしもあなたの会社が倒産したら、あなたのお給料は支払われない可能性が往々にしてあります。

以前から資金繰りが厳しく、数ヶ月賃金の未払が発生していたため、貯金はない…。
倒産してしまっては未払の賃金を払ってもらえるはずもなく、泣き寝入り…。
転職活動をしようにもお金がない…。

そんなことも、起こりえないとは言い切れません。

しかし、泣き寝入りはやめましょう!
未払分の給料に関しては一定額請求できる可能性があります。

この制度が、本日ご紹介する「未払賃金立替払制度」です。

未払賃金建替払制度

未払賃金立替払制度は、決して難しいものではありません。

「未払賃金立替払制度」は、企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払する制度です。
引用元:「未払賃金立替払制度の概要と実績」(厚生労働省)

この制度は、全国の労働基準監督署と独立行政法人労働者健康安全機構が実施しています。

倒産した日から6ヶ月以内であれば、未払の賃金を最大で約8割(※規定あり)まで補償してくれる制度です。

倒産の予定なんかまったくないけど…という人も、この制度を覚えておいて損はありませんよ。

適用のための条件

制度が適用されるためには、下記の条件を満たす必要があります。

(1) 使用者が、
[1] 1年以上事業活動を行っていたこと
[2] 倒産したこと
大きく分けて次の2つの場合があります。
イ 法律上の倒産
([1]破産、[2]特別清算、[3]民事再生、[4]会社更生の場合)
この場合は、破産管財人等に倒産の事実等を証明してもらう必要があります。
必要な用紙は労働基準監督署に備え付けてあります。
ロ 事実上の倒産
(中小企業について、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払能力がない場合)
この場合は、労働基準監督署長の認定が必要ですので、労働基準監督署に認定の申請を行って下さい。
(2) 労働者が、倒産について裁判所への申立て等(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署への認定申請(事実上の倒産の場合)が行われた日の6か月前の日から2年の間に退職した者であること
引用元:「未払賃金立替払制度の概要と実績」(厚生労働省)

ざっくりまとめると、以下の2つを満たす必要があるということです。

  •  働いていた会社が倒産していること
  •  倒産した日から6ヶ月以内に申請すること

細かい条件が比較的少ないので、利用しやすい制度かと思います。
ただし、中小企業が対象であり、なおかつボーナスなどは立替対象にはなりませんので、ご注意ください。

ちなみにこの制度は雇用形態を問わず利用することができるので、アルバイトやパートタイマーの方でも申請できます。
正社員ではないけれど、パート先が急に倒産してしまって給料の未払が出た…なんてときには、一度検討してみましょう。
もちろん、外国人労働者の方でも利用可能です!

また、退職後に倒産した場合も利用可能ですので、未払賃金が理由で辞めた方なども、一度申請が可能かどうか調べてみてはいかがでしょうか。

おわりに

突然の会社の倒産、賃金を払う余裕が会社にないこともわかり、給料ももらえずに泣く泣く退職…なんて時でも、泣き寝入りせずに済むこの制度。
いざという時に、知っていると知らないのとでは大違いですので、今はまだうちの会社は大丈夫、という人もぜひ覚えておきましょう!

<参考>
・ 「2017年(平成29年)の全国企業倒産8,405件」(東京商工リサーチ)
・ 澤田康幸、崔允禎、菅野早紀「不況・失業と自殺の関係についての一考察」(「日本労働研究雑誌」52巻5号)
・ 「未払賃金立替払制度の概要と実績」(厚生労働省)
・ 「未払賃金の立替払事業」(独立行政法人労働者安全機構)

 

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