前回の記事では、胃の中にピロリ菌が住み着いてしまうことで、炎症が起こり、炎症状態が続くと、慢性胃炎、萎縮性胃炎となり、その一部ががんとなっていくとお話しました。
ピロリ菌が住み着いてしまった場合は、はやめに除菌するのが吉ですね。
そもそも、実際にピロリ菌が胃の中に住み着いているのか? いないのか?
ピロリ菌検査を受けるためには、どうしたらよいのか?
気になる方のために、今回は、ピロリ菌検査についてお話したいと思います。
ピロリ菌検査って、何をするの?
ピロリ菌検査には、いくつか種類があります。
●呼気検査(尿素呼気試験法)
紙袋に息を吹き込む検査です。
検査の流れとしては、まず、紙袋に息を吹き込み、診断薬を飲みます。
その後、再び紙袋に息を吹きこみます。
この検査は、もっとも精度の高い検査といわれており、なおかつ身体の負担も少ないため、検査の主流の1つとなっています。
●採血検査、尿検査(IgG抗体検査)
ピロリ菌が胃の中に住み着く(感染する)と、抗体ができます。
この抗体の有無を調べることでピロリ菌が住み着いているかいないかを判断するのが、採血検査や尿検査です。
しかし、ピロリ菌抗体は一度できたからといって、一生あるものではありません。
人により、抗体がなくなるまでの期間には個人差がありますが、数年でほとんどなくなるといわれています。
このタイムラグがあるため、過去に胃の中にピロリ菌がいて現在はすでに除菌済みという方も陽性となる場合があります。
●便検査(糞便中抗原測定)
いわゆる検便です。
実際に胃の中にピロリ菌が住み着いている場合、抗原が作り出されます。
その抗原が便に含まれるため、便の中に抗原がないかを調べることで、ピロリ菌の有無を調べる検査となります。
●胃カメラ検査(内視鏡検査)
ひとことで胃カメラといっても、ピロリ菌が住み着いているかどうかの検査としては、培養法、迅速ウレアーゼ試験、組織鏡検法と種類があります。
しかし、検査を受ける側として胃の中の組織を取られることに変わりはありません。
胃カメラ検査は、先にご紹介した3種類とは異なり、負担の大きい検査です。
また、胃の中を空っぽにした状態で検査を受けていただくこととなるので、食事制限があります。
具体的な時間は、病院によっても違いはありますが、午前中に胃カメラを行う場合ですと、前日21時頃から食事をとってはいけないといった場合が多いでしょう。
ピロリ菌除菌の保険適用
胃の中にピロリ菌がいた場合、除菌をすることとなるのですが、この除菌治療は、保険が適用される場合とされない場合があります。
保険が適用される場合のポイントは、現在どんな病気になっているか? という点です。
ちなみに、以前は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの病気にのみ保険が適用されたのですが、2013年の2月から、胃炎でも適用されることとなりました。
つまり、以前より軽度の状態でも保険が適用されるということです。
大人になってからのピロリ菌検査で陽性となった場合は、胃炎状態であると考えられるため、除菌治療に保険が適用されるわけです。
=ピロリ菌検査で陽性×胃炎の診断
胃カメラ(内視鏡検査)のいいところ
冒頭では、ピロリ菌検査の種類をいくつかあげましたが、「胃カメラって……大変だし、受けようと思う人なんているの!?」と思った方もいるかもしれません。
実は、ここで保険適用の話が絡んでくるのです。
除菌の治療で保険が適用されるには、「医師による胃炎の診断」が必要となりますが、この胃炎の診断には、胃カメラ(内視鏡検査)が必要なんです。
つまり、呼気検査や採血、尿検査、検便でピロリ菌がいる、とわかった場合に保険適用で除菌治療する場合には、改めて胃カメラ(内視鏡検査)検査を受ける必要があります。
そういった意味で、ピロリ菌がいた場合に”二度手間にならない”のが胃カメラ(内視鏡検査)のいいところですね。
結局、どの検査を受ければいいの!?
胃カメラ(内視鏡検査)でないと、除菌治療の保険が適用されない……。
とはいっても、胃カメラ検査はやはり身体の負担が大きい……。
前回お伝えしたように、ピロリ菌に感染している期間が長ければ長いほど、胃がんになるリスクが高くなります。
そのため、まずは気軽に検査を受けてみよう! と思った方は呼気検査や検便などを、また、ご家族にピロリ菌がいたことがある方、胃の不調が多い方などは胃カメラ(内視鏡検査)を受けてみてはいかがでしょうか。