徹夜すること。
あるいは5時間睡眠を1週間続けることは、血中アルコール濃度0.1%(酒気帯び運転で捕まる3倍の濃度)で仕事をすることと同じであることをご存知ですか?
睡眠不足で出勤しても、怒られませんが、アルコールを飲んで出勤すると怒られますよね。
でも、睡眠不足はアルコールを飲んで仕事をしている状態と同じなのです!
日本は世界でトップを争う睡眠不足大国
みなさんの睡眠時間は足りていますか?
2017年流行語大賞に、「睡眠負債」という言葉がノミネートされましたね。
夜に質も量も十分な睡眠がとれているかどうか確かめる一番簡単な方法は、「日中、何もしないでぼーっとしているときに、『居眠りをしてしまうかどうか』」です。
もし昼間ウトウトすることが多ければ、おそらくあなたは睡眠不足!
もしくは、何か睡眠の質が悪化する問題を抱えています。
個人によって必要な睡眠時間は大きく異なりますが、平均的な年代ごとの必要睡眠時間(世界的な)は次のようになります。
- 幼稚園に通うような年代:1日の半分以上
- 小学生:10時間弱
- 中高生:約9時間
- 20代の社会人:約8時間
- 30代の社会人:約7.5時間
- 40代:約7時間
必要時間が意外と多いと感じませんか?
この必要な時間を下回ると、昼間の眠気が出てきます。
なお、睡眠不足の影響はおよそ14日引きずるといわれています。
7時間睡眠が必要な人が1日1時間ずつ睡眠不足を起こしていると、1週間後には1晩徹夜したのと同じだけ睡眠不足の状態となります。
また、眠気が残る以外には特に問題がないのでしょうか?
眠いと当然ですがパフォーマンスが低下します。集中力が低下して、ミスが増えて、同じ時間にこなせる仕事量は減っていきます。
眠気とパフォーマンスはイコール? 実は、違います!
眠気には限度があり、実は一晩徹夜しても二晩徹夜しても、あるいは毎日少しずつ睡眠不足を重ねていても、眠気の程度自体はそれほど変わりません。
どのくらい昼間眠いか、どのくらい居眠りをしやすくなってしまうかに関しては、ある程度以上睡眠不足が溜まっていれば、あまり差は生まれないのです。
しかし、パフォーマンスは溜まっている睡眠不足に比例して悪化していきます。
二晩徹夜した人は、一晩徹夜した人よりもはるかに多くミスを起こし、単位時間あたりに処理できる情報量が下がります。
ということは、毎日2時間ずつ睡眠不足を重ねている人は、1時間ずつ睡眠不足の人よりも、同様にはるかに多くミスを起こし、単位時間あたりに処理できる情報量が下がるのです。
徹夜、睡眠不足=酒気帯び運転!?
経営学の権威であるHarvard Business Reviewはこう書いています。
「徹夜すること。あるいは5時間睡眠を1週間続けることは、血中アルコール濃度0.1%(酒気帯び運転で捕まる3倍の濃度)のパフォーマンス低下と等しい。『アイツはなんて立派な従業員なんだ! 彼はいつも飲んだくれている!』なんて台詞を言うわけはないが、睡眠を犠牲にして働く人を称賛することはこれに等しい」
健康相談の場面では、自分の必要睡眠時間を知らない、かつ、睡眠に問題がありすぎてパフォーマンスが発揮できていない人に沢山出会います。
睡眠の質と量は、食事や運動よりもはるかにパフォーマンスに影響を与えるのです。
なお、ドクタートラストでは、ストレスチェックに合わせて、従業員の睡眠状態問診の追加オプションを提供しております。
特に、運転を伴う業務がある会社にとっては、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査を兼ねたチェックになります。
食事や運動といった保健指導のみならず、睡眠衛生指導(個別面談、睡眠セミナー)を取り入れて、眠りの質を高めることで仕事のパフォーマンスを高めることが、働き方改革時代の流れになりつつあります。時流のみならず、毎日の睡眠のこと、各個人に必要な量、質の確保について正しい知識を得ることが、社員それぞれの人生の質を高めます。
<参考>
・ Van et al., “The cumulative cost of additional wakefulness” Sleep. 2003 Mar 15;26(2):117-26.
・ Harvard Business Review. 2006. “Sleep Deficit: The Performance Killer”