現在、労働環境の改善が社会的な問題となっており、大手企業を中心に多くの企業が改善に取り組んでいるようです。
売り手市場となった昨今の就職市場では、
求職者が就職先を吟味する時、給与や安定性だけでなく、「ワークライフバランスが取れる職場環境か」という点が重視されています。
長時間労働の是正や多様な働き方に対応し、柔軟な労働時間を提供することは、より良い人材を確保するための必須条件となってきています。
職場意識改善助成金
とはいえ、いざ労働環境を改善しようと考えても、そのための費用の捻出が難しいこともあるかと思います。そんな企業に朗報です。
国を挙げて労働環境改善を推進している今、
労働者の健康や生活へ配慮、多様な働き方に対応し、労働時間の改善を促進する中小企業に対し、その取組の実施に要した経費の一部の助成を受けることができる
「職場意識改善助成金」という助成金の制度が、厚生労働省により設けられています。
職場意識改善助成金には種類があり、
・職場環境改善コース
・所定労働時間短縮コース
・時間外労働上限設定コース
・勤務間インターバル導入コース
・テレワークコース
の五つが実施する措置に応じて設けられています。
適用対象、助成を受けられる中小企業とは?
具体的にどのような企業が職場意識改善助成金の支給対象となるのでしょうか?
厚生労働省は業種別に以下の基準を設けています。
小売業:資本又は出資額5000万円以下、常時使用する雇用者50人以下
サービス業:資本又は出資額5000万円以下、常時使用する雇用者100人以下
卸売業:資本又は出資額1億円以下、常時使用する雇用者100人以下
その他の業種:資本又は出資額3億円以下、常時使用する雇用者300人以下
成果目標とは?
助成金を受け取るためには、各コースに対応した支給対象となる取り組みを一つ以上実施し、設定された「成果目標」を達成することが必要です。
成果目標を達成することで初めて、取り組みに要した経費の一部の支給を受けることができます。
以下のように各コースごとに定められています。
【職場環境改善コースの場合】
a労働者の年次有給休暇の年間 平均取得日数(年休取得日数) を 4 日以上増加させる
b労働者の月間平均所定外労働時間数(所定外労働時間数)を 5 時間以上削減させる
【所定労働時間短縮コースの場合】
事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、週所定労働時間を2時間以上短縮して、40時間以下とすること。
【時間外労働上限設定コースの場合】
事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、労働基準法第36条第一項の規定によって延長した労働時間数を短縮して、限度基準以下の上限設定を行うこと。
【勤務間インターバル導入コースの場合】
事業主が事業実施計画において指定したすべての各事業場において休憩時間数が9時間以上11時間未満 又は11時間以上の勤務時間インターバルを導入すること
【テレワークコースの場合】
1.評価期間に1回以上、対象労働者全員に、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークを実施させる。
2.評価期間において、対象労働者が在宅又はサテライトオフィスにおいてテレワークを実施した日数の週間平均を、1日以上とする。
3.年次有給休暇の取得促進について、労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数を前年と比較して4日以上増加させる。又は
所定外労働の削減について、労働者の月間平均所定外労働時間数を前年と比較して5時間以上削減させる。
上記のような制度を活用して、職場環境を改善するとともに、助成金を得ることを試みてはいかがでしょうか?