【50人未満の事業場】ストレスチェック実施マニュアル案が公表|準備で押さえるべき2つのポイント
- 2025/12/5
- ストレスチェック

2025年11月10日、厚生労働省にて第4回目となるストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル作成ワーキンググループ」が開催され、50名未満が対象となる「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル(案)」(以下、マニュアル案)が公表されました。
本記事ではマニュアル案をもとに主に実施前の体制の整備や社内周知等、実施前の準備について小規模事業場が押さえておくべきポイントを整理します。
小規模事業場における特徴と留意点
まず、50名未満の小規模事業場がストレスチェックを実施するにあたり、これまで義務となっていた50名以上の事業場と比較したときの特徴を見ていきましょう。
小規模事業場の特徴は以下のとおりです。
実施者となる産業医・医療職が社内に常駐していない
小規模事業場では、産業医を選任する義務がなく、実施者になり得る人材が常駐していないケースがほとんどで、ストレスチェックの実施に必要な人材を社内だけで確保するのは困難です。
実務負担が大きい
従業員数が少ないため、ストレスチェックの準備、実施、集計、結果管理までを少人数で担う必要があり、実務負担が大きくなります。
個人特定のリスクが高い
従業員数が少なく、社内の人間関係が近くなることから、ストレスチェック結果から特定の個人が50名以上の事業場と比べて判別されやすくなるため、プライバシー保護への配慮が不可欠です。
以上のことから、特に実施体制の整備と従業員のプライバシー保護が重要な課題となります。
これらを踏まえ、次に実施準備の具体的なポイントをマニュアル案に沿って確認します。
社内ルールの作成と従業員への周知
小規模事業場では、従業員数が少ないため、個人特定やプライバシー保護が特に重要です。
事業者は従業員が安心して受検ができるようストレスチェック実施前に社内ルールを作成し明確に周知することが重要です。
マニュアル案では社内ルールとして以下の事項について定めることを推奨しています。
・ 実施体制
・ 実施方法
・ 記録の保存
・ 情報管理
・ 情報の開示、訂正等および苦情処理
・ 不利益な取り扱いの防止
また、従業員への周知に際しては特にプライバシー保護の観点から以下の内容を盛り込むと安心です。
ストレスチェックの目的
労働者のメンタルヘルス不調の未然防止が目的です。
結果の取り扱い
結果は直接本人に通知され、本人の同意なく会社が知ることはありません。
会社は集団分析結果(個人が特定されない形のもの)の提供を受け職場環境改善に取り組みます。
不利益な取り扱いの防止
ストレスチェックを受けないことや受検結果、面接指導の申し出や結果を理由として、評価や昇進、処遇等に不利益が生じることはありません。
これらの方針を事前に伝えることで、従業員は安心して受検でき、ストレスチェックの効果を高めることができます。
実施体制の整備
マニュアル案では、小規模事業場におけるストレスチェックの実施に関して、次のように記載されています。
労働者数 50 人未満の事業場においては、原則として、労働者のプライバシー保護の観点から、ストレスチェックの実施を外部機関に委託することが推奨されます。外部機関には健診機関も想定されます。出所:ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会「資料1 小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル(案)」
外部委託をするメリットは以下の通りです。
専門性の確保
産業医や医療職などの専門家が関与することで、ストレスチェックの信頼性と精度が向上します。
公正性の担保
事業者と従業員の関係性に影響されず、客観的な評価が可能です。
実務負担の軽減
ストレスチェックの実施や集計、結果管理を外部に委託することで、社内の負担を大幅に軽減できます。
また、面談が必要になった場合も、外部委託をすることで中立性を保ちながら適切に対応することが可能です。
このように外部へ委託することにより事業者、受検者双方が安心して適切にストレスチェックを実施できる体制の整備が可能となります。
マニュアル案には委託先の選定・契約に関するポイントや留意事項も記載がされています。
これを参考に外部委託先について検討しましょう。
小規模事業場でのストレスチェックでは、従業員数の少なさによる実施体制整備の困難さや個人特定リスク、実務負担の大きさが課題です。
そのため、押さえるべきポイントは以下の2点です。
・ 社内方針を事前に明確化・周知すること
・ 外部委託などで実施体制を整えること
社内方針を明確に設定して周知し、その方針を実現するための体制を整えることで、従業員は安心して受検でき、ストレスチェックの効果が高まります。
小規模事業場はまずこの2点を押さえて準備を進めてみてはいかがでしょうか。
<参考>
ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会「『小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル』作成ワーキンググループ第4回資料」

















