社員のストレスチェック受検率が低い――それって問題?

昨年12月からストレスチェック制度が施行されました。
常時労働者が50名以上の事業場では、1年以内(平成28年11月末まで)にストレスチェックを実施する義務があります。
既に実施した企業もあると思いますが、これから実施する企業が多いのではないのでしょうか?
今回は、これからストレスチェックを実施する企業の担当者の方が疑問に思うであろうことについてアドバイスしていきます。

社員のストレスチェック受検は自由

ストレスチェックの実施は、常時労働者が50名以上の事業場において実施義務がありますが、労働者に受検義務はなく、受検は自由です。
そのため、就業規則で受検を義務付けたり、受検しない労働者に懲戒処罰を行ったりするような、受検を強要することは、行ってはいけません。
とはいえ、企業としては、受検率が低くとどまるようなことは避けるべきです。
労働者が自分のストレス状態を知り、企業が自社の職場環境の状態を知り、それらの改善につなげるという本来の目的のためには、ぜひとも受検率100%を目指したいところです。
ちなみに、厚生労働省が発表した「外部機関によるストレスチェックに関する実態調査結果の概要」によると、平成26年9月に独立行政法人労働者健康福祉機構の登録相談機関(心の健康に関する相談を行う専門機関)および日本EAP協会の実施したストレスチェックに関するアンケート調査へ回答のあった20機関のうち、半数の機関で受検率は90%以上だったと報告されています。
(内訳:受検率90%以上:11機関 (55%)、80%以上:3機関 (15%)、70%以上:4機関(20%)、その他2機関(10%))
どの企業も、少なくとも90%以上の受検率を目指していくべきではないでしょうか。

受検率の高低は問われないものの……

ただし、現在のところ、ストレスチェックの受検率に関して労働基準監督署から指導が入るということはありません。
企業は面接指導の実施後に、ストレスチェックと面接指導の実施状況を労働基準監督署に報告します。
その際に提出する「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」には、受検率の記入欄はなく、「検査を受けた労働者数」「面接指導を受けた労働者数」などの記入欄があるのみです。
けれども今後、報告書のフォーマットが変わり、受検率が問われるようになる可能性もあり得ます。

あきらめずに受検勧奨していきたい

では、事業者は、どのくらいの頻度・程度で受検勧奨を行うのが妥当なのでしょうか?
厚生労働省は、受検勧奨の妥当な程度は、それぞれの企業の状況により異なるため、方法・頻度については、衛生委員会等で調査審議をして決めるよう通知しています。
企業ごとの積極的な対応が求められているといえます。
ストレスチェックは、メンタル不調を未然に防止する「一次予防」となります。
社員一人ひとりが生き生きと働き、社会がますますゆたかになっていくために、ぜひとも実効性を高めていきたいところです。
始まったばかりの制度のため、まだまだ馴染みにくいこともあるかもしれませんが、できるだけ前向きに取り組んでいくことをおすすめいたします。

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