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【2022年4月に対応】不妊治療の保険適用開始~働く女性の選択肢に~
- 2022/6/20
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国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、日本で不妊の検査や治療を受けたことのある夫婦は約5.5組に1組と言われています。(※1)
働きながら不妊治療を受ける女性社員は増加傾向にありますが、2022年4月より、不妊治療の保険適用が大幅に拡大されました。
金銭的負担が軽減され、今まで不妊治療をためらっていた方々にとって、より身近な選択肢となったものの、まだまだ課題はあります。
今回は、不妊治療の保険適用になることで変わることや、不妊治療と仕事の両立の難しさなどについて、わかりやすく解説します。
不妊治療の保険適用でどんなメリットがある?
2022年4月より、体外受精などの基本治療はすべて保険適用となりました。
不妊治療の保険適用のメリットには、以下が挙げられます。
・ 費用負担が大きく軽減される
・ 高額療養費制度の利用が可能になる(自己負担限度額は所得により異なる)
今まで、高額の治療費がかかっていたところから、費用負担が軽減するのは、非常にありがたい制度です。
ただ、すべての治療・検査・薬剤に保険適用されるわけではなく、「量」や「回数」に制限がありますので、対象かどうかは、状況に合わせて確認する必要があります。
また、保険診療と自由診療を同じ治療で組み合わせることは、「混合診療」となるため禁止されています。
そのため、通院するクリニックで、混合診療とならないように「治療計画」を立てて、治療を開始していくことになります。
課題の多い不妊治療と仕事の両立
選択肢が広がり、不妊治療へのステップアップがしやすくなった今、次に立ちはだかるのは「不妊治療と仕事の両立の壁」です。
厚生労働省の調査では、不妊治療を経験した方のうち34.7%が「不妊治療と仕事の両立ができない」と答えています。(※2)
両立が難しい理由に「通院回数の多さ」「精神面での負担の大きさ」「通院と仕事の日程調整の難しさ」が挙げられます。
不妊治療は、身体的負担や精神的負担に加えて、想像以上に時間の負担がかかります。
なぜなら、病院の待ち時間が長かったり(不妊治療の保険適応により、より一層患者が増え、待ち時間が長くなる可能性あり)、月経周期により行われる検査も異なるため、突如平日のワークタイムに検査を行わなければならない、ということも起こりええるためです。
では、職場に不妊治療中であることを告げ、調整し仕事と両立すればよいのではないかと考える人も少なくないでしょう。
しかし「不妊」「不妊治療」などの言葉に対して、理解不足の方がいたりするのも現実です。
また、不妊治療であることを正直に上司に話すことで、偏見の目で見られてしまったり、不妊治療をしてまで子どもが欲しいのであれば、重要な仕事は任せられない、などとキャリアとの二者択一を迫れるケースも少なくありません。
会社として取り組んでもらいたいこと
これから不妊治療に取り組む女性社員が増えることが考えられますが、ぜひ会社として取り組んでいただきたいことをご説明します。
① フレキシブルな休暇の利用
育児や介護に関する制度は、整い始めている一方で、不妊治療に対する制度が浸透しているとは言い切れません。
不妊治療に対する休暇制度を整えることに対してハードルが高い場合は、ぜひ「柔軟な働き方に関する制度」を導入してみてください。
不妊治療は1日休まなくても、半日や数時間で休暇が十分なケースもあります。
そのため、以下のような制度を整えてみるのもいいでしょう。
・ 半日単位や時間単位の有給休暇
・ フレックスタイム制
・ 在宅勤務などのテレワーク制度
② 風土醸成
制度を整えても、「その制度を利用できない」「制度そのものを知らない」では宝の持ち腐れです。
そのため、職場の不妊治療への理解促進や、ハラスメント防止に向けた意識啓発がとても重要になります。
たとえば、管理職や上司に対してのeラーニングや研修による教育、会社のトップからのメッセージも効果があるでしょう。
不妊治療をせずに、子どもを授かることのできた社員からは「わざわざ不妊治療までして……」と理解を得られないかもしれません。
しかし、現代では不妊は働き盛りの女性にとっては身近な問題であり、不妊治療は非常に選択肢となっています。
一方で、職場から理解を得られなければ、その仕事を続けること自体も難しく、離職も選択肢となっていくでしょう。
ぜひ、一人でも多くの方が、気軽に不妊治療を選択肢として選ぶことができる職場で働くことができることを願っています。
<参考>
※1 国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」
※2 厚生労働省「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」