受動喫煙対策法の公布から1年が経過~内閣府「たばこ対策に関する世論調査」公表~

2019年9月27日、内閣府より「たばこ対策に関する世論調査」が公表されました。

※ 同時公開された「がん対策に関する世論調査」結果は以下の記事を参照ください。

内閣府がたばこ対策について世論調査を行うのは、今回が初めてのことです。
現在、日本の平均喫煙者率は年々減ってきており、喫煙者率は、男性27.8%、女性8.7%、男女合わせて17.9%と約2割にとどまっています。
また、2018年7月に改正健康増進法が成立し、2020年4月の全面施行に向け受動喫煙対策強化が進んでいます。

※ 改正健康増進法による受動喫煙対策内容は以下の記事を参照ください。

今回の世論調査は、改正健康増進法を公布して1年が経過、目指す全面施行まで残り1年のこの中間地点で、たばこに関して世間の人たちが今どのように感じ考えているかを把握することを目的としています。
以下では「たばこ対策に関する世論調査」結果をみていきます。

「たばこ対策に関する世論調査」結果概要

たばこと健康に関する知識は半数以上で認知されている

「たばこと健康に対して、どのようなことを知っているか」という質問に対しての回答は以下のとおりでした。

① たばこは、肺がんなど、がんの原因となる:85.2%
② たばこの煙は、吸っている本人だけでなく、周りの人の健康にも悪影響を及ぼす:72.0%
③ たばこは、脳卒中や心筋梗塞、肺気腫などの病気の原因となる:66.8%

たばこと健康の関係について、認知度が高いこともわかります。
ほかにも、健康被害や依存性に対しても、上記項目同様半数以上の人が認知していました。

約8割はたばこの煙を不快に感じている

たばこの煙の不快感を尋ねたところ、以下の通りでした。

① 不快に思う:78.4%
② 不快に思わない:20.0%

さらにこの結果を性別でみると。「不快に思う」は女性の割合が高く、「不快に思わない」は男性の割合が高いという結果となりました。
多くの人が、たばこの煙は不快と感じていることがわかります。
副流煙には、主流煙にくらべ、約2~3倍の有害物質が含まれているといわれています。
さらに、アンモニアなどの刺激物質は、約70倍以上も含まれています。
喫煙者にとっては「病気になってもいいからたばこを吸いたい」と思うかもしれません。
でも、その煙は周りを不快しながら、健康までも奪ってしまっている事実を忘れないでください。

健康増進法の改正内容に関する知識

2018年に成立した改正健康増進法の内容について知っていることを聞いたところ、上位に挙がったのは以下のとおりでした。

① 多数の人が利用する施設の屋内は、原則禁煙になる:46.0%
② 病院・学校などの施設では、ほかの施設より規制が厳しく、屋内に喫煙室が設置できない:44.6%
③ 小規模飲食店では、店によって室内でたばこが吸える店と吸えない店がある:42.0%

「禁煙になる」「たばこが吸えない場所が増える」といった認識は、約半数の人にあるようです。
次いで挙がったのは以下のとおりです。

④ 法律が改正され、2019年7月以降、規制が強化される:22.3%
⑤ 喫煙室の入り口には、標識が掲げられる:19.4%

また、「特にない」、「わからない」という回答も1割強ありました。

東京都はすでに義務化!飲食店の喫煙室の入り口に標識

前述の結果にもあった「喫煙室の入り口の標識」を皆さんはご存知でしたでしょうか。
これは、改正健康増進法が2020年4月1日に全面施行されることで義務づけられる提示です。
東京都では受動喫煙防止条例の施行に伴い、いち早く2019年9月1日から、飲食店において店内の喫煙環境について標識の提示が義務づけられています。
東京都内にとどまらず、徐々に皆さんの生活の中で、このような標識に触れる機会が増えることでしょう。
そのことで、国民全体の喫煙や受動喫煙に対する意識が少しでも高まることを期待しています。

我慢の禁煙は失敗のもと

筆者は、看護師として禁煙外来で老若男女の患者さんを禁煙へ導いていましたが、その経験を通して感じたことは、「我慢の禁煙は失敗を招く」ということです。
我慢は新たなストレスを生んで、さらにタバコへと手を出してしまうことにつながります。
喫煙者の方は、今一度、貴方にとってタバコは何のためにあるかを自分自身に問いかけてみてください。
今までタバコによって得られていた喜びや安心感は、タバコを吸わなければ得られないものでしょうか。
改正健康増進法が全面施行されることは、多くの喫煙者にとって肩身の狭い思いを強いるかもしれませんが、「禁煙してみよう!」のきっかけになるのではれば、これが最初の大きな一歩です。

<参考>
・ JT「2018年「全国たばこ喫煙者率調査」」
・ 内閣府「がん対策・たばこ対策に関する世論調査」

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原田 佑紀子株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

大学病院やクリニックで看護師として、さまざまな疾患をもつ働き盛りの年代の患者様を間近で看護させていただくなかで、からだとこころは密接に関係している、と強く実感しました。
「病気」に目を向けるだけではなく、病気になることで揺れ動くこころや生活を支え、健康に働くことをサポートする役割になりたいという思いから、産業保健師として活動しています。皆さんの「知りたい」最新の産業保健の情報を伝えられたらと思います!
【保有資格】看護師、保健師、人間ドック健診情報管理指導士、睡眠健康指導士上級
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