仕事と治療等の両立への意識は変わりつつある!内閣府「がん対策に関する世論調査」公表
- 2019/10/3
- 産保新聞ニュース
2019年9月27日、内閣府より「がん対策・たばこ対策に関する世論調査」が公表されました。
この世論調査は、2019年7月25日から8月4日にかけて、日本国籍をもつ18歳以上のもの1,647人から回答を得たものです。
「がん対策に関する世論調査」の実施は2016年11月以来、約3年ぶりとなりますが、この間に、がんに対する意識や認識が変わってきたかも注目ポイントのひとつです。
以下では、過去の結果と比較しつつ今回の世論調査結果をみていきます。
がんへの印象、受診率
がんに対する印象は3年前と大きな変化なし
がんに対してどのような印象を持っているか聞いたところ、以下のとおりでした。
① こわいと思わない:23.8%(2016年世論調査26.8%)
② こわいと思う:75.7%(同72.3%)
これを年齢別にみていくと、以下のことがわかります。
① こわいと思う:18~39歳で割合が高い
② こわいと思わない:70歳以上で高い
がん検診の受診状況は上昇傾向
現在、国では、以下5種類のがん検診を推奨しています。
・ 胃がん検診
・ 子宮頸がん検診
・ 肺がん検診
・ 乳がん検診
・ 大腸がん検診
こうしたがん検診の受診状況は、以下のとおりです。
① 過去2年以内に受診した:57.0%(2016年世論調査52.6%)
② 2年より前に受診した:13.6%(同13.8%)
③ 今までがん検診を受けたことはない:29.2%(同33.4%)
3年前にくらべ、「過去2年以内に受診した」割合が微増しています。
では、「2年より前に受診した」「今までがん検診を受けたことはない」といった方々は、どうして過去2年以内にがん検診を受診しなかったのでしょうか。
その理由は多い順に以下のとおりです。
第1位 受ける時間がないから:28.9%(2016年世論調査30.6%)
第2位 健康状態に自信があり、必要性を感じないから:25.0%(同29.2%)
第3位 心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」23.4%(同23.7%)
3年前とくらべ、割合に変化はあるものの、ランクインした理由、およびその順序は同様でした。
がん検診は症状のない人が対象で、病気を早期発見し早期治療に繋げるために行われるものです。
健康状態に自信がある人こそ、ぜひ一度がん検診を受けてみてください。
仕事と治療等を両立して働き続ける環境だと思えている割合が増加
現代の日本の社会で、がんの治療や検査のために2週間に一度程度病院に通う必要がある場合、働き続けられる環境だと思うかという質問に対する回答は以下のとおりです。
① そう思う:37.1%(2016年世論調査27.9%)
② そう思わない:57.4%(同64.5%)
以上のように、「そう思わない」の割合が高いことがわかりますが、「そう思う」と答えた割合は、経時的に増加傾向にあります。(2013年世論調査26.1%、2016年世論調査27.9%、2019年世論調査37.1%)
徐々にではありますが、がんになっても働き続けられると思える環境となりつつあることは喜ばしいことです。
また、年齢別にみたときに、40~49歳で「そう思わない」と回答する方の割合がほかの年代とくらべ高いことが気になりました。
会社を引っ張っていく世代である40代にとって、これから安心して治療に専念しながら仕事も長く続けられる環境になる必要があります。
両立を困難にする最大の要因は「体力的に困難だから」
治療や検査と仕事の両立が難しい理由を聞いたところ、以下のとおりでした。
第1位 がんの治療・検査と仕事の両立が体力的に困難だから:23.5%(2016年世論調査19.9%)
第2位 代わりに仕事をする人がいない、または、いても頼みにくいから:20.9%(同21.7%)
第3位 職場が休むことを許してくれるかどうかわからないから」:19.1% (同21.3%)
「がんの治療・検査と仕事の両立が体力的に困難だから」と答えた割合が経時的に増加傾向にあることがわかりました。(2013年世論調査17.9%、2016年世論調査19.9%、2019年世論調査23.5%)
がんの治療は、想像以上の体力と精神力が必要となります。
職場では業務量を調整したり、治療や検査のために休める環境を作ることで、心身共に限界が来てしまうことを防ぎます。
職場や周囲の人たちが、がんに対しての理解を深めることや、色々な人が多様な働き方ができる職場環境にしていくことが、がんとともに働き続けられる人生を支えていくのではないでしょうか。
<参考>
内閣府「がん対策・たばこ対策に関する世論調査」https://survey.gov-online.go.jp/r01/r01-gantaisaku/index.html