【ストレスチェックで職場環境改善】満足度分析について、解説します!

ドクタートラストのストレスチェックでは、「満足度分析」を行っております。
新たに従業員満足度調査をするのではなく、せっかく実施したストレスチェックのデータを活かして、従業員の仕事の満足度を分析できるものとなっています。
最近、企業の担当者さまから、「満足度分析について、詳しく知りたい!」というお問い合わせをいただくことがありました。
そこで、今回は、ドクタートラストのストレスチェックで行っている満足度分析について、お伝えします。

満足度分析とは

皆さまは、「顧客満足度調査」や「従業員満足度調査」という言葉を聞いたことはございますか?
このような満足度調査で用いられる分析を、満足度分析といいます。
「顧客満足度分析(Customer Satisfaction analysis)」は「CS分析」、「従業員満足度分析(Employee Satisfaction analysis)」は「ES分析」などとも略されます。
具体的な分析方法を指して、「CSポートフォリオ分析」と呼ばれることもあります。
この分析では、顧客(または従業員)に満足を感じさせるには、どの要素を改善すればよいか?を見つけることを目的としています。

満足度が向上すると、どうなるの?

顧客の満足度が向上すれば、リピート率の向上や解約率の低下などにつながりますね。
同様に、従業員の満足度向上は、離職率の低下や従業員のモチベーション向上などにつながります。
また、従業員満足度と顧客満足度は、相関関係にあるといわれています(1)
いくつかの理由が考えられていますが、その1つとして、従業員満足度が高いと、生産性が向上するため、従業員は質の高いサービスを提供することができ、その結果顧客満足度も向上するという研究結果があります(2)
つまり、顧客満足度はもちろんですが、従業員満足度を向上することも、企業にとって多くのメリットがあることがわかりますね。

どんな分析方法?

満足度分析の方法は、ひと言で表すと“満足度×影響度”です。
縦軸に満足度、横軸に影響度をとり、各項目を領域内にプロットすることで分析を行います。
たとえば、以下の顧客満足度アンケートを実施したとしましょう。

Q1.料理の味はいかがでしたか?

1.満足   2.まあ満足   3.やや不満足   4.不満足

Q2.料理の提供までの時間はいかがでしたか?
1.満足   2.まあ満足   3.やや不満足   4.不満足

Q3.店内の清潔度はいかがでしたか?
1.満足   2.まあ満足   3.やや不満足   4.不満足

Q4.料理の価格はいかがでしたか?
1.満足   2.まあ満足   3.やや不満足   4.不満足
Q5.スタッフの対応はいかがでしたか?
1.満足   2.まあ満足   3.やや不満足   4.不満足
Q6.総合的な満足度はいかがでしたか?(総合評価)
1.満足   2.まあ満足   3.やや不満足   4.不満足

このアンケート結果から、次を算出し、グラフにプロットすると以下のようになります。

(1) Q1~Q5の項目別満足度(縦軸:満足度)
(2) 総合満足度(Q6)と項目別満足度(Q1~Q5)の評価の相関性(横軸:影響度)

(1)の満足度は、「とても満足」と答えた人の割合を取る方法や、すべての回答の平均値を用いる方法などがあります。
(2)の影響度は、相関係数を用いることが多いです。

上記グラフは、大きく4つの領域にわけることができ、優先的に改善すべき項目が分かります。

右上の領域:影響度も満足度も高い領域で、強みとして維持したい項目
左上の領域:影響度は低いが、満足度は高い領域で、維持していく必要のある項目
左下の領域:影響度も満足度も低い領域で、改善の優先度は低い項目
右下の領域:影響度が高いにもかかわらず、満足度が低い領域であり、優先的に改善すべき項目

このような、ポートフォリオを用いて、改善の優先度を判断する分析方法を、満足度分析といいます。

ストレスチェック集団分析での満足度分析手法

では、実際にドクタートラストのストレスチェックでは、どのように満足度分析を行っているかをご説明いたします。

ストレスチェックデータで満足度分析を行う目的

ドクタートラストのストレスチェックで、満足度分析を行う目的は、結果を職場環境改善に活かすことです。
集団分析結果から、職場環境改善の打ち手を考えるヒントをお伝えしたいと考えています。

そのために、満足度分析結果では次の2つを示しています。

・改善の余地が多く
・なおかつ総合評価(仕事の満足度)との相関が強い(関連性がある)項目

総合評価は「仕事に満足だ」

ドクタートラストの満足度分析では、ストレスチェックの第56問目「仕事に満足だ」という設問を、総合評価としています。
総合的な仕事の満足度について聞いている設問のため、こちらを総合評価とします。

各項目は「ストレス反応」以外の項目

項目別満足度は、基本的に総合指標以外のすべての設問を用いています。

ただ、例外があり、 第18問~第46問の「ストレス反応」についての29問は除いています
(「ストレス反応」の設問は、「活気がわいてくる」「イライラする」「ひどく疲れている」…などがあります)
なぜなら、この「ストレス反応」は、回答者各個人のストレス反応を聞いている設問だからです。
仕事のことや、職場のことを聞いているのではなく、働くことでの結果として出てきた心身の反応のため、項目別満足度としては適していません。
そのため、項目別満足度は、 第18問~第46問の「ストレス反応」を除いた設問としています。

縦軸は一番良好な回答をした人の割合

項目別満足度は、次のように定義しています。

・ 一番良好な回答=満足している
・ 一番不良な回答=不満足

ストレスチェックの第1問を例に見てみましょう。

Q1.非常にたくさんの仕事をしなければならない

1.そうだ  2.まあそうだ  3.ややちがう  4.ちがう
↓      ↓       ↓     ↓
1.不満足  2.やや不満足  3.まあ満足   4.満足

このように捉え、「満足」と回答した従業員の割合を算出しています。
「満足」と回答した従業員の割合が少ない項目(=縦軸の項目別満足度が低い項目)は、改善の余地があると考えられます。

横軸は、「仕事に満足だ」との相関

影響度は、総合評価と項目別満足度との相関を表しています。

具体的には、 第56問「仕事に満足だ」という項目と、 その他の項目(ストレス反応は除く)との相関係数を算出しています。

第1問「非常にたくさんの仕事をしなければならない」第56問「仕事に満足だ」との相関係数、第2問「時間内に仕事が処理しきれない」第56問「仕事に満足だ」との相関係数、第3問「一生懸命働かなければならない」第56問「仕事に満足だ」との相関係数……といったように、各項目別満足度と総合評価(「仕事に満足だ」)との相関係数をそれぞれ算出したものを、横軸(影響度)としています。

Tips.相関とは?
たとえば、ある大学の生徒の「数学の授業の出席回数」と「期末試験の成績」を全員分プロットしたとしましょう。
このような図を相関図といいます。
相関図を見ると、「授業の出席回数」と「成績」は関係性がありそうですね。
どうやら出席回数が多いほど、成績はあがるようです。
このような関係性のとき、「授業の出席回数と成績には相関がある」といいます。
偏差値換算後、優先度の高い項目を算出

ここまでで、縦軸(満足度)には、一番良好な回答をした人の割合、横軸(影響度)には、総合評価と各項目の相関係数を用いているとご説明しました。
最後に、これらの値を偏差値換算し、ポートフォリオを作成しています。
ドクタートラストの集団分析結果では、以下のような形で報告しています(3)

改善の余地が多く、・なおかつ総合評価(仕事の満足度)との相関が強い(関連性がある)項目は、右下のピンク色の領域にプロットされることとなります。

このピンク色の領域が、最も改善の優先度(プライオリティ)が高い、ということがわかります。
「従業員の満足度向上」のための職場環境改善には、このエリアのものから取り組むと良いでしょう。

集団分析結果には、優先度の高い領域の拡大図も提示しています(3)
改善の優先度が高いものをランキング

ドクタートラストのストレスチェックの満足度分析では、満足度分析の結果、改善の優先度が高いものをランキング形式で示しています。

集団分析結果には、優先して改善すべき項目ランキングも提示(3)

このランキングは、ポートフォリオの点(50,50)を原点として、原点からの距離と角度から各項目の「改善度指数」を算出し、改善度指数の高いものから順にランキングを作成しています。

改善度指数は、原点からの距離と角度から算出。
ドクタートラストの満足度分析結果は、どう見るべきか?

今回は、ドクタートラストのストレスチェックで行っている満足度分析について、詳しくご説明していきました。
結局、この結果をどう見たらいいの?と思ったときは、次のようにポートフォリオを見ていただきたいです。

・縦軸(満足度)が低いほど、改善の余地があり
・縦軸(影響度)が高いほど、従業員の「仕事の満足度」への影響が強い
右下(ピンク色)の領域にある項目が、改善の優先度が高い!

ストレスチェックで満足度分析しませんか?

少し長くなってしまいましたが、ドクタートラストのストレスチェックで実施している、満足度分析についてご説明しました。
ストレスチェックの結果から、「ストレスの要因を減らさなければ」と頭を悩ませている人事担当者も多いかと思います。
そのような、”守りのメンタルヘルス対策”ではなく、”攻めのメンタルヘルス対策”として、従業員の満足度向上を、職場環境改善に取り入れてみませんか?
ドクタートラストにて80問版のストレスチェック(新職業性ストレス簡易調査票)を実施すると、この満足度分析付きの集団分析をご提供しております。

ご興味のある方は、こちらをご覧ください。

 

(1) Brown and Lam, 2008; Harter et al., 2002; Whitman, Van Rooy, and Viswesvaran, 2010
(2) Heskettet al., 1994, pp.164-165
(3) 集団分析結果のレポート様式は、2019年9月現在のものであり、レポート内容や書式、レイアウト等は予告なく変更する場合があります。

 

<参考資料>
・ 「従業員満足度,顧客満足度,財務業績の関係―ホスピタリティ産業における検証―」鈴木 研一、 松岡 孝介)
・ 統計局なるほど統計学園高等部「顧客満足度の把握」

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