ストレスチェックを上手く活用できていますか?~厚労省より工夫事例集が公開されました~

ストレスチェックを上手く活用できていますか?~厚労省より工夫事例集が公開されました~

皆さん、ストレスチェックを上手く活用できていますか?
「ストレスチェック」とは、ストレスに関する質問票(選択回答)に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを知り、セルフケアなどに役立てる検査です。
2015年に施行された改正労働安全衛生法により、従業員数50人以上の事業場では、毎年1回、ストレスチェックを労働者に対して実施することが義務づけられています。
多くの企業は「労働者が50名を超え、実施義務が発生したから」などの理由でストレスチェック実施いただいているかと思いますが、厚生労働省が2022年3月25日付で公開した新しいマニュアル「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて」では、ストレスチェック実施の目的を以下のように明記しています。

ストレスチェック制度は、労働者のストレスの程度を把握し、労働者自身のストレスへの気づきを促すとともに、職場環境改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによって、労働者がメンタルヘルス不調となることを未然に防止する一次予防を主な目的としています。
厚生労働省「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて(PDF)」

実際、ストレスチェックの集団分析結果を用いた職場環境改善・メンタル不調予防に力を入れる企業も年々増加しており、産業保健分野内での注目も高まっています。
また前記「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて」は、ストレスチェック実施に関しての工夫例が記載されています。
そこで今回は、本マニュアルに掲載されている工夫例をもとに、「産業保健新聞」運営元のドクタートラストで営業を担当している筆者がストレスチェック実施のポイントを解説いたします。

回答方式をWeb形式に統一させた建設業の事例

ここでは、回答方式をWeb形式に統一させた建設業の工夫例を取り上げます。

ストレスチェックの実施
【課題】ストレスチェックの実施にあたり、質問紙による回答方式とWebによる回答方式の併用からWebによる回答方式へ一元化する際、Web による回答が難しい労働者への配慮が必要となった。
【工夫】各事業場にWeb入力コーチ(庶務業務担当者等)を配置し、Webによる回答が難しい労働者をサポートする体制を整備した。
厚生労働省「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて(PDF)」

ここで取り上げた会社では、ストレスチェック制度が法制化される5年前の2010年から、ストレスチェックを実施し、毎年、実施方法の改善等に取り組んでおり、上記「工夫」もその一つです。
これまではストレスチェックの実施にあたって、質問紙方式とWeb方式を併用していたものの、紙のマークシートでは回答が判読できないなど、入力作業に手間と時間を要し、労働者へ結果をフィードバックするまでに3か月以上要していました。
そこで2019年からはWeb方式に統一する方針としたところ、Webでの回答が難しい労働者が一定数いるとの声が各事業場から上がり、その対応として、各事業場にWeb入力コーチ(庶務業務担当者等)を配置することで、回答に係る労働者の負担を軽減しつつ、Web方式への一元化を図ることができました。

ドクタートラスト営業担当からの内容解説

Webによる回答方式一元化への工夫は素晴らしいです。
従来のマークシート(紙)受験だと回収や配布などの担当者の手間や不備が発生するリスクがありますが、Web受験であれば手間やリスクを防ぎつつ、企業側実施事務従事者の作業スケジュール短縮にもつながります。
またストレスチェックの集団分析結果をどう活用するかについても、事前に各事業場の管理監督者(集団分析結果上の集団長)ともミーティングを行い、「ストレスチェックを有効活用していこう」と方向性を統一していたことも着目すべきポイントです。

まとめ

職場環境は実施事務従事者などのストレスチェック担当者だけではなく、対象の従業員を管理する方の協力が不可欠となり、管理監督者が率先して職場環境に力を入れていただくことで、働きやすさやストレスの感じ方などに大きな影響を与えます。
「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて」には、上記のように実施企業が課題に感じた点をどのように工夫して克服したかが細かく記載されています。
ストレスチェック実施に対して課題を感じている企業の方は、ぜひご一読ください。

<参考>
・ 厚生労働省「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて(PDF)」
・ 厚生労働省「ストレスチェック制度導入マニュアル(PDF)」
・ 厚生労働省「こころの耳」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

會田 健太郎株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

前職では医療業界をメインターゲットとしたIT会社にて勤務しておりました。
現状世界中でコロナウィルス拡大の影響で、健康面で不安な方が増加しているのではないかと思われます。少しでも皆様の不安が和らぐような情報の発信ができればと考えております。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

この著者の最新の記事

関連記事

解説動画つき記事

  1. 衛生委員会等のオンライン開催についての通達が示されました

    【動画あり】もっと深く知りたい方必見!衛生委員会等のオンライン開催について詳しく説明します

一目置かれる健康知識

ページ上部へ戻る