ニューロ・ロジカル・レベルを知って、叱り上手になろう
- 2018/12/19
- メンタルヘルス
厚生労働省より、職場のパワーハラスメントを対策していくために、企業に、パワハラ関する周知や啓発、相談窓口の設置などの義務化が公表されました。
都道府県労働局に寄せられるパワーハラスメント件数は年々増加傾向にあり、現在は、3人に1人がパワーハラスメントを受けているといわれるほどとなっています。
では、パワーハラスメントとはどのようなことでしょうか。
厚生労働省はパワーハラスメントを「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義づけています。
ここでポイントとなるのは「職場内の優位性」が一つの基準となっていることです。
パワーハラスメントと聞いてイメージするのは、「上司から部下」「先輩から後輩」といった上の職位の人から下へのハラスメントかと思います。
しかし、新任上司に対する部下からのパワーハラスメントなども存在しているのです。
また、「業務の適正な範囲を超えたもの」と定義づけられていますが、その定義づけも難しいポイントです。
どこまでが指導の領域で、どこからがパワーハラスメントの範囲になるのか。
今回はその指導方法に関して、コミュニケーション技法である「ニューロ・ロジカル・レベル」という視点からお話しさせていただきます。
ニューロ・ロジカル・レベルとは
ニューロ・ロジカル・レベルは、アメリカのロバート・ディルツ氏により体系化された、人の物事の捉え方を下記の6段階に分けたものです。
1. 環境(Where,When): 家庭・職場・学校・人間関係・人の意見など
2. 行動(What): 会社へ行く、営業をする等の人の行動
3. 能力(How): 伝える力、聴く力、営業力などの能力
4. 信念・価値観(Why): 信念や価値観、考え方など
5. 自己認識(Who): 自分がどのような存在なのかという認識
6. スピリチュアル(For what,For whom): 使命・ミッション
この、ニューロ・ロジカル・レベルのどの段階をコミュニケーションに用いるかによって、コミュニケーションの質が変わるといわれています。
ニューロ・ロジカル・レベルからみた適切な叱り方は
例えば、仕事がうまくいかず落ち込んでいるとします。その時、周りからこれらの言葉をかけられたらどのように感じますか。
① 仕事がなかなかうまくいっていないね。……環境(Where,When)
② この仕事はここのやり方が間違っている。……行動(What)
③ この仕事があなたには難しすぎたな。……能力(How)
④ あなたの仕事へ取り組む態度は間違っている。……信念・価値観(Why)
⑤ あなたはだめな人だ。……自己認識(Who)
数字が大きくなるにつれて、傷ついてしまうことが感じられましたでしょうか。
ニューロ・ロジカル・レベルの観点からみると、叱るレベルより低いことに焦点をあててしまうと何が言いたいのかが伝わらず、逆に高いことに焦点をあててしまうと心を傷つけてしまうことから、「指導したいレベルと同じレベルに焦点をあてる」ということが非常に重要です。
また、レベルは基本的には「行動」「能力」にあてるべきであるといわれています。
それ以上のレベルになってくると、受け取る側は自己否定をされていると捉え、精神的苦痛を感じるため、「パワハラを受けた」と感じるリスクが高くなってしまうので注意が必要です。
ただし、仕事をしていると能力について指導をしなければいけない場面が多々出てきてしまうこともあるかと思います。
その際には、まず相手のプラスの部分を褒めてから、指導したいことを伝えてみましょう。
精神的苦痛を防ぐポイントとなるので、心がけてみてください。
ニューロ・ロジカル・レベルを活用して叱り上手に
ニューロ・ロジカル・レベルを活用し、良好な職場環境作りを目指していきましょう。
ただ、なかなかすぐには難しいというところが正直なところかと思います。
そこで、まずは、自分の叱り方が良かったかを振り返ってみませんか。
この振り返りとああすればよかったといった反省が、みなさまを叱り上手へと近づけてくれます。