「あなたはどんな人ですか?」
こんな質問、就職活動時のエントリーシート以来かもしれませんね。
普段、仕事に生活に、突き進んでいると、なかなか自分に向き合う時間ってないですよね。
ふとしたときに、「自分ってなんなんだろう」「どうしてこの仕事をしているんだろう」「自分は何をすべきなんだろう」…などと考え込んでしまうこと、ありませんか?
自己理解には…ビッグファイブが使える!
自分の個性や人がらなどの人格(パーソナリティ)を理解するために、ビッグファイブという考え方があります。
ビッグファイブは、オレゴン大学のルイス・R・ゴールドバーグ氏が提唱した考え方で、パーソナリティの考え方では、現在最も信頼性のあるものとなっています。
私たちのパーソナリティは、以下の5つの因子の組み合わせによってできているというのが、ビッグファイブの考え方です。
・神経症傾向
・外向性
・経験への開放性
・協調性
・誠実性
ビッグファイブの5つの因子
では、5つの因子を具体的に見ていきましょう。
神経症傾向(不安や緊張)
環境やストレスなど、外からの刺激に対する敏感さを示しています。
一言で言うと、不安になりやすい、緊張しやすい、という性質です。
神経症傾向が高い人は、危険に対して敏感で、それを回避しようと慎重に行動します。
また、不安や緊張などの気持ちにもなりやすいです。
対して、神経症傾向の低い人は、危機があっても動じることが少なく、悩みやストレスを感じにくいです。
感情が安定していると言えますが、極端だと感情に鈍感と言える場合もあります。
外向性
外の世界(人や物事)に積極的に興味関心を向けられるかどうかを示しています。
一言でいうと、社交性です。
外向性の高い人は、人との関わりに積極的であり、社交的と言えるでしょう。
刺激を好み、活発的に行動する面があります。
外向性が低い(=内向的な)人は、控えめな部分があり、刺激は求めません。
対人関係にも、あまり関心をもっていないことがあります。
経験への開放性
知的好奇心が強いかどうかや、想像力が豊かであるかどうかを示しています。
また、新しい経験に対しての親和性も表しています。
一言でいうと、知的好奇心ですね。
開放性が高い人は、新しいものに好奇心をもち、豊かな想像力から新しいものをつくりだすことも好みます。
極端な場合は、社会から逸脱した夢想をもつこともあります。
対して開放性の低い人は、決められたことを堅実に着実に行います。
協調性
人との関係性において、周りへの同調のしやすさを示しています。
一言でいうと、優しさでしょうか。
協調性の高い人は、共感性や優しさ、思いやりを持ち、トラブルなく人付き合いができます。
極端になると、他人に流されすぎて自分を見失ってしまうこともあります。
対して、協調性の低い(=分離性の高い)人は、自分をしっかりと持ち、他人の気持ちを理解はしても、我が道を行く傾向があります。
誠実性
目的や意志をもって、物事をやり切ろうと自分をコントロールできるかを示しています。
一言でいうと、勤勉さです。
誠実性の高い人は、意志が強く、目的達成のために気持ちや行動をコントロールすることができます。
対して、誠実性の低い(=衝動性が高い)人は、計画的というよりは直感で行動し、環境や自分に対してあまりこだわりをもたない面があります。
キーワードで簡単にまとめてみると、以下のようになります。
高い | 低い | |
神経症傾向 | 心配性、神経質、感情的、不安、緊張 | 情緒が安定、感情に鈍感、危険行動に走りやすい(危険に楽観的) |
外向性 | 社交的、活発的、おしゃべり、楽観的 | 控えめ、冷静、遠慮がち |
経験への開放性 | 好奇心旺盛、創造的、独創的、想像力がある | 伝統的、地に足がついている、興味が狭い |
協調性 | 柔和、気がいい、人を信じる、だまされやすい、率直 | 粗野、疑い深い、非協力的、無慈悲 |
誠実性 | しっかりしている、頼りになる、一生懸命、自制心がある、几帳面、忍耐強い | 無目的、怠惰、不注意、快楽的、意志が弱い |
ビッグファイブはどこでできる?
ビッグファイブの5つの因子を図るための検査には、TIPI-J、NEO-PI-R検査やFFPQ(5因子性格検査)などがあります。
それぞれに短縮版があったりもしますが、気軽にビッグファイブを用いたインターネット上のテストができるサイトもあります。
◆ビッグファイブ性格特性診断(株式会社ダイレクトコミュニケーション)
日本語のサイトで、各5因子それぞれに解説がついてきます。
◆16Personalities
英語のサイトですが、ビッグファイブをもとにキャラクターにタイピングされます。
自分がどんなタイプか?どんな特性があって、強み・弱みを把握してみてはいかがでしょうか。
<参考資料>
日本版NEO-PI-Rの作成とその因子的妥当性の検討
下仲 順子, 中里 克治, 権藤 恭之, 高山 緑
日本語版Ten Item Personality Inventory(TIPI-J)作成の試み
小塩 真司, 阿部 晋吾, Pino Cutrone
東京大学大学院総合文化研究科認知行動科学 丹野研究室