派遣労働者のメンタルヘルス対策をどうすべきか、悩まれている企業は多いのではないでしょうか。
派遣労働者を派遣している派遣元企業と、派遣労働者を受け入れている派遣先企業の双方の事情を聞いていると、派遣労働者のメンタルヘルス対策の難しさを感じざるを得ません。
●派遣元企業・・・派遣労働者の異変に気付くのがどうしても遅くなる。就労が難しくなってからの対応がほとんど・・・。
●派遣先企業・・・派遣労働者との雇用関係が無いため、どこまで対応すればよいのか・・・。
このようなお話を企業担当者からはよく聞きます。
派遣労働者には重複実施も検討したい
派遣労働者のストレスチェック実施義務は派遣元にありますから(常時使用する労働者が50人を超えている場合)、当然ながら派遣労働者に対してストレスチェックを行うべきです。
派遣先においても、派遣労働者に対してストレスチェックを実施する方向で進めていくことが望ましいとされています。勤務実態として、派遣先での就労となるためです。
派遣労働者のストレスチェック実施は、派遣元に頼りたいと考える企業があるようですが、労働者の安全配慮義務という観点からすれば、派遣元・派遣先の双方で実施することが望ましいといえるでしょう。
産業医からも企業に対して、派遣労働者のストレスチェックを積極的に行うように意見していただきたいと思います。
派遣先が実施したストレスチェックの結果を、派遣元が利用することは可能か?
これについては、本人の同意があれば可能です。
ただし、派遣労働者に対するストレスチェックの実施義務は派遣元にあるため、派遣先での受検結果を利用する場合は、派遣元が派遣先に実施を委託し、実施費用も派遣元が負担する必要があるでしょう。
◆衛生委員会等で調査審議する際には、ぜひ参考にしてください。
(ストレスチェック制度Q&Aの中の、Q18-3をご参照ください)
http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html#head-9
派遣労働者は、勤務先である派遣先の社員とは立場が違うため、疎外感を感じているということがあり、ストレス負荷がかかってしまっていることが少なくありません。
派遣元企業と派遣先企業の双方でストレスチェックを実施することを派遣労働者のメンタルヘルス対策の一つと認識し、実行していくべきだと思われます。