若手社会人における「共育て」意識と企業が取り組むべき課題

「共育て(ともそだて)」とは、子育て当事者の女性と男性が共に、子どもと過ごす時間をつくり、相互に協力しながら子育てをする考え方です。
2025年7月30日(水)に、厚生労働省の共働き・共育てを推進する広報事業「共育(トモイク)プロジェクト」が、「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査」の結果(速報)を公表しました。
調査は「全国の15~30歳 の男女、高校生・大学生など及び若手社会人」が対象となっており、若年層の「共働き・共育てに関する意識」や「育休やワークライフバランスへの意向」「社会人になってからの意識の変化」を明らかにするために行われました。
本記事を通して、一緒に調査結果を確認していきましょう。

調査結果について

1.共育てに対する意識

「共育てに対する意識」に対する上位の回答は以下の通りでした。

1位: 共育てをしたいが、実現のためには社会や職場の支援が必要だと思う
2位: 共育ては家庭にとって理想的である
3位: 共育ては当然であり、実践したいと思う

興味深いことに、肯定的な意見が上位を占めていました。
このことから、若年層が共育ての重要性を理解していることが読み取れます。

2.仕事と子育てのジェンダー意識

「家庭と仕事、自分のキャリアと家庭どちらを優先するか?」という項目に関しては、全体の約7割が「性別は関係ない」と回答しています。
また、面白いことに「男性と女性どちらが育休取得を行うべきか?」「男性と女性どちらが育児や家事を行うべきか?」という項目に関しても、同様に7割以上が「男女は関係ない」と回答しています。
従来の日本社会では存在していた性別による役割(女性が家庭を優先すべき、男性がキャリアを優先すべき)などのジェンダーギャップは、昨今の日本において、固定観念が徐々に薄れていることがこの結果から示唆されました。

3.育休取得意向

「育休取得」に関しては全体の7割以上の方が「取得したい」または「どちらかというと取得したい」と回答しました。
ただし、男性と女性の間に差異がみられました。
育休取得期間に関する項目において、男性で1カ月以上の育休を取得したいと回答した方は7割に対して、女性は約9割が1カ月以上取得したいと回答しています。
男性よりも女性のほうが育休取得意欲がやや高い傾向にあることがわかりました。

4.仕事とプライベートの意識

「仕事とプライベートの意識の調査」では、非常に興味深い結果が得られています。
現在、社会人として働いている方達が、新卒で入社する会社を選ぶ際に「将来の仕事とプライベートの両立を意識していたか?」という項目に関して「両立を意識していた」と回答したのは約6割でした。
一方で、現在学生の方達で「両立を意識している」と回答したのは約7割です。
この結果から、年齢層に応じて仕事とプライベートの意識は徐々に変化しており、若い世代ほど両立を望んでいることがわかります。

5.理想の働き方

「若年社会人の子育て期間における理想の働き方」は、学生時代や現在と比較して「家事・育児や介護など家庭と両立できること」、 「働く時期や時間を柔軟に増減できること」を理想とする割合が高くなっています。
これらの理想の働き方が実現した際に仕事のモチベーションが高まると回答したのは74.4%となっており、理想の働き方の実現が業務行う上でもポジティブに働くことがわかりました。
一方で、理想の働き方ができないことで離職意向が高くなる傾向があることも本調査結果から判明しました。

6.共育て実現のために企業に求めること

若年層が就職活動で重視する「結婚や出産に関わる情報」の項目は 「男性の育休取得率(23.3%)」が最も高く、次いで「育休取得者をカバーする 社内のサポート体制(19.5%)」「育児に関する支援内容(19.2%)」が多くなっています。
加えて、若年社会人が理想の働き方を実現するために求める支援として、 上位に「残業時間の抑制(22.3%)」「在宅勤務の活用(22.1%)」「有給休暇取得の促進(21.6%)」 が挙がりました。

若年層の共育てへの意識が高まっている理由

それではなぜ、若年層の共育て意識が高まっているのでしょうか?
この疑問については、「仕事と育児の両立に不安があるか?」という項目への回答から考察できます。
この項目に対して「そう思う」または「どちらかというとそう思う」と回答したのが約7割で、共育てに対する意識に肯定的な回答をしている割合と一致しています。
この結果から、共育ての意識の高さとは、育児に対する不安感の現れである可能性が示唆されます。

企業が取り組むべき課題と今後

今回の調査結果より、若年層の共育て意識は既に高い水準にあることを示唆しています。
一方で、このような共育て意識の高さに対し、企業側として対応できる余地は多く残されています。

現在の日本は、急激に加速するインフレーションによる金銭的な不安、人手不足による過酷な労働環境などさまざまな問題に直面しています。
このような状況である今こそ、企業は離職率の低減や働き方改革に取り組むべきだと考えています。

本記事では、「共育て」に注目して若年層の意識について深堀っていきましたが、若年層が求めることは「理想の働き方」の実現であり、つまりは将来のライフプランを見据えた働きやすい環境の整備こそが現代の人材確保と定着につながるはずです。
その第一歩として、まずは「男性の育休取得率向上」や「育児支援」などを推進してみてはいかがでしょうか。

<参考>
厚生労働省「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査(速報)を公表しました」

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塚本 薫株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

製薬会社にて7年間従事した後、「健康で楽しく元気にはたらく人を増やす」という企業理念に共感し、ドクタートラストに入社しました。
健康を推進する企業の一員として、みなさまのお役に立てるような有益情報を発信していきます!

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