パワハラの対処~転職も選択肢の一つ~

最近発覚した教員による教員へのいじめ問題、衝撃的でしたね。
大企業では2020年4月以降、パワハラ対策が義務となりますが、実際にパワハラが発生した場合の対処法はご存じですか?

今回はパワハラの発生の件数、それによる影響、対処法まで横断的にみていきましょう。

パワハラの発生件数は少ない?

職場でのひどい嫌がらせ、いじめ、暴行や職場内のトラブルにより、うつ病などの精神障害を発病し、労災補償を受けるケースがあります。
また、上下関係対人関係による件数は年々増加しています。
2018年の嫌がらせ、いじめ、暴行では69件という結果が出ています。
これを見て、全国でたった69件?と感じるかもしれませんが、これは労災補償を受けたケースであり、パワハラを受けても何もしないという人が40%以上いるのが現実の中、氷山の一角と言わざるを得ません。
都道府県労働局等に設置した総合労働相談コーナーに寄せられる「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は年々増加し、2012年度には相談内容の中でトップとなり、引き続き増加傾向にあり、2018年は82,797件にも上りました。
公的な相談コーナーに相談した人は全体の2%程度という調査もあり、相談しなかった人はその何十倍もいると推察されます。

出典:厚生労働省「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」

パワハラの影響

プレゼンティーズム、アブセンティーズムという言葉をご存じでしょうか?
プレゼンティーズムは出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題により、充分にパフォーマンスが上がらない状態を指し、アブセンティーズムは欠勤や休職、あるいは遅刻早退など、職場にいることができず、業務に就けない状態を指します。
パワハラは被害者の心身に影響を及ぼすだけではなく、生産性の低下、人材の流出など会社へも悪影響を及ぼします。
また、ハラスメントの行為者だけではなく、会社に対しても法的責任が問われる事態を招きかねません。

転職=悪?

適正な業務範囲を超えて誰かを攻撃したり、生産性を落とすような職場への悪影響を与えているのであれば、パワハラは百害あって一利なしです。
発生している時点で誰も得はしません。
そのために厚生労働省は、相談者からヒアリングをしましょう、事実を確認しましょう、相談窓口を設けましょう、再発防止策を立てましょう、などパワハラの対処方法を出しています。
「パワハラを受けた」と訴えている社員は、役割と責任範囲が不明瞭であったり、他罰的であったり、事実を曲解している可能性があります。
事実ベースで認知をしていく過程は飛ばさないようにしなければなりません。
その上で、もう一つ、対処方法として転職も視野に入れることも重要です。
日本では短期間に転職を繰り返していると、履歴書に傷が付く、とマイナスに働きますが、業務遂行ができない・自分は会社の業務に適性がないと感じているのであれば、これは加害者側にとっても被害者側にとっても退職という選択肢は解決策の一つとなるでしょう。
徹底的にパワハラと戦う、あっせん・調停を使う、などの方法もあるでしょうが、現実時間がかかります。
裁判になると年単位もあり得るでしょう。
パワハラはあっていいものだと容認はしてはいけません。
会社側もそれを放置するのではなく解決のための努力を怠らないことも必要でしょうし、そもそもそういったことが発生しないようなしくみを導入するべきでしょう。
しかし、前向きに本人の能力をより適正で100%発揮できる環境に置くためには、一つの企業にもしがみつくのではなく、新しい環境に飛び込むのも、現実、早い解決策の一つではないでしょうか。

参考:厚生労働省「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」

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杉井 将紘株式会社ドクタートラスト 常務取締役

投稿者プロフィール

IT企業に長年従事。その際の労働環境が整備されておらず、訴えても変わらない状況から健康管理会社のドクタートラストへ転職を決意。
畑違いの業界に戸惑いつつも、ITの力を駆使して産業保健業界に一石を投じるべく日々奮闘。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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