健康経営はアウトプットからアウトカムを重視する段階へ
- 2019/9/28
- 健康経営
初めて健康経営度調査が実施されたのが2014年、「健康経営優良法人」に認定される企業が発表されるようになったのが2016年、2019年は調査開始から6年目にあたります。
今回は、健康経営優良法人2020の選定基準についてご紹介します。
健康経営度調査のフレームワーク
健康経営優良法人に認定されるための評価モデル、調査項目のフレームワークは従来と変更なく、①経営理念・方針、②組織体制、③制度・施策実行、④評価・改善、⑤法令順守・リスクマネジメントの5つで評価されます。
評価のウェイトとして、⑤は定量値ではなく適否判定のためウェイトは設定されていませんが、①~④について従来は【3:2:3:2】のウェイトで評価されていたものが【3:2:2:3】に重みづけが変更されます。
つまり③制度・施策実行よりも④評価・改善を重視することを意味します。
評価・改善が重視されるとどうなるのか
健康経営の取り組みのなかでも評価や改善が重視されるということは自社におけるPDCAサイクルを回していくためにアウトプットとアウトカムを明確にして分析していくことが重要となります。
アウトプットの指標例としては健診の受診率、健康施策の認知度、従業員の運動習慣比率などが挙げられますが、今後はそれだけでなくアウトプットの数値が改善されたことでどのような成果(アウトカム)が出たのかを分析していくことが重視され、健康経営優良法人2020に認定されるためにはアウトカムまで分析できている企業に追加で加点される予定です。
健康経営におけるアウトカムとは?
健診の受診率が上がった、運動習慣が従業員に定着してきたということであれば健康経営の一歩としては前進していますが、その結果として従業員の健康状態や労働生産性が改善したかどうか、組織としてパフォーマンスが向上したかどうかが重要になってきます。
健診の受診率を上げることそのものが目的ではなく、その結果として従業員が健康になること、ひいては会社の生産性を上げることこそが健康経営の目的だからです。
健康経営のアウトカムの例として考えられるのは、保険者における医療費が削減できたかどうか、アブセンティーズム(疾病やメンタルヘルスによる休職、欠勤)が減少したか、といった点です。
これらの数値が改善されているかどうかに目を向けることが、これからの健康経営の指標になってくると思われます。
またプレゼンティーズム(出社はしているものの生産性が下がっている状態になっていないか)をアンケートで調査することも有効かもしれません。
ホワイト500の当初の目標は健康経営に取り組んでいる企業を2020年までに500社以上にすることでしたが、昨年の時点で既に800社以上の企業がホワイト500に認定されています。
2020年を来年に迎えた今、ホワイト500の認定についても新たな段階に入ってきていると言えるでしょう。
<参考>
経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課「第21回健康投資WG事務局説明資料②(健康経営顕彰制度の見直しについて)」(PDF)