海外勤務の労災ってどうなるの?
- 2016/6/21
- 労働安全衛生法
海外赴任者は多くなってきている
近年、企業の規模にかかわらず海外勤務者が増えてきました。
平成27年10月1日現在で海外長期滞在者は85万9,994人もいます。
そのうち民間企業関係者は46万2,462人と、半数以上を占めます。
今、働いている皆さんは労災保険に加入していると思います。
この当たり前のような存在となっている労災保険、本来は国内にある事業場に適用され、
そこで就労する労働者が給付の対象となる制度です。
そのため、海外出張ならば、国内の労災保険は適用されるのですが、
海外出向または派遣、転勤の場合は適用されないのです。
そこで、海外で働いていても日本の労災保険を受けたいときに
ぜひ手続きしたいのが「労災保険の特別加入」です。
特別加入とは?
海外へ派遣された人でも、日本国内と同様の労災保険の給付が適用されるように設けられたものです。
この特別加入、労働者が加入するためには、企業が労働基準監督署へ申請する必要があります。
一見、保険料が高くなりそうなイメージがありますが、そんなことはありません。
特別加入に伴う保険料負担は生じますが、国内の労災に払っている保険料から
差し引かれるため、実質的な負担はほとんど変わらないのです。
さらに詳しい情報、加入方法などはこちらから。
労災保険情報センター【海外派遣者】
特別加入の注意点
ただし、海外に勤務しているすべての人が特別加入できるわけではありません。
そこで、特別加入することができる条件を簡単にご説明します。
1.日本国内の事業主から、海外で行われる事業に労働者として派遣される場合。
2.日本国内の事業主から、海外にある中小規模の事業に事業主等として派遣される場合。
3.独立行政法人国際協力機構など開発途上に対する技術協力の実施の事業を行う団体から派遣され、開発途上地域で行われている事業に従事する場合。
つまり、すでに海外の事業に派遣されている人でも途中から特別加入することができますが、
海外にある企業に採用された場合には適用されないのです。
自分のためにも、家族のためにも
海外への勤務となると不安はつきものです。
思わぬ事故や怪我などを考えると仕事に集中できません。
自分自身を守るためにも、家族に安心して帰りを待ってもらうためにも
労災保険の特別加入はぜひ知っておきたい制度ですね。