休業理由の第2位!「腰痛」を軽視してはいけない理由

休業理由の第2位!「腰痛」を軽視してはいけない理由

社内で腰痛に関する会話を聞いたことありませんか?

「●●さん、ぎっくり腰で今日お休みです」
「先週から腰が痛くて……。申し訳ないのですが、この荷物運ぶの手伝ってもらえないですか?」
「▲▲さん、腰痛が酷くて手術するらしいよ」

腰痛はとても身近な存在ではある一方、それがために軽く見られがちな傾向があります。
しかし、腰痛対策は決しておろそかにしてはいけません。

休職理由の2位は、腰痛です

厚生労働省公表「令和2年業務上疾病発生状況」によると、休業4日以上の疾病は15,038件でした。
疾病分類別では、負傷に起因する疾病は6,533件で、そのうち5,582件は「腰痛(災害性腰痛)」が占めていました。
(ちなみに1位は、新型コロナウイルス罹患によるもの(6,041件)でした)
そこで私は、一つの仮説を立ててみました。
「腰痛を制する会社は、生産性向上が約束される」と。
なぜなら、健康の問題を抱えつつも業務を行っている状態(プレゼンティーズム)では、生産性が低下し、コストが増大することが明らかになっているからです。
健康状態は「仕事を休業している状態」(アブセンティーズム)にも直結するので、至極当然のことでしょう。

産業医に聞いた!腰痛対策のヒント

腰痛予防と一言でいっても、業種や業態によってさまざまです。
そこで、今回は、経験豊富な産業医からヒヤリングした腰痛対策の例を、ご紹介します。

立ち仕事が多い製造現場:足元に、厚手のゴムマットを敷くことにより、足腰への負担を軽減

重い荷物を運ぶなどの作業はないものの、常に立って作業をすることが多い製造業現場での事例です。
厚手のゴムマットを足元に敷くことにより、冬場の冷え対策にもつながり、従業員からも好評で、足元が安定するため転倒などの労災も減少しているそうです。

接客業の職場:靴の中敷きを配布

全国展開されているアミューズメント系企業での事例です。
こちらも基本的に立ち仕事が多い職場で、常に腰痛でパフォーマンスが上がらない従業員がいたそうです。
そこで、スタッフ全員の足のサイズを調査し、個々人に合った中敷きをスタッフ全員に配布したそうです。
中敷きのコストはかかりますが、腰痛による病欠は驚くほど減少しているそうです。

IT系企業:ながら運動で、腰痛・肩こりを削減

IT企業の事例です。
この企業では、以前から、目の疲れを訴える人が多く、休憩スペースを充実させたり、3時のラジオ体操などを導入し、体を動かすことを推奨していたそうです。
しかし、コロナ禍でテレワークが増え、上手く運用できなくなってしまったため、デスクに向かいながらできる「ながら運動」のセミナーを実施。
同じ体勢でいることでパフォーマンスが落ちること等を知ってもらうことにより、3ヶ月後の社内アンケートで腰痛や肩こりが改善されたという声が多数寄せられました。

生産性向上にもつながる腰痛対策

腰痛予防のほんの一例を挙げましたが、いずれも導入のハードルは比較的低いと考えられます。
もちろん業種や業態によっては、すぐに実践できないかもしれませんが、腰痛対策を検討されてマイナスになることはありません。
また、厚生労働省でも、2021年10月に「職場における腰痛予防サイト(腰を痛めない働き方を知ろう)」を公開しています。
本稿執筆時点では、保健衛生業向けの動画コンテンツが載っています。
12月には陸上貨物運送事業向けの動画が公開される予定です。
こうした情報サイトなどを参考にしつつ、腰痛予防に努めていただき、生産性の向上にもつなげてください。

<参考>
厚生労働省「職場における腰痛予防サイト(腰を痛めない働き方を知ろう)」

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