Q 育児休暇明けの転勤辞令や人事異動は違法になる?
A 就業規則や労働契約書に人事異動・転勤の規定があり、従業員が大きな不利益を被らなければ違法にはならないという見解が多いようです。
しかしながら、育児休業・介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律には以下のように記されています。
第二十二条 事業主は、育児休業申出及び介護休業申出並びに育児休業及び介護休業後における就業が円滑に行われるようにするため、
育児休業又は介護休業をする労働者が雇用される事業所における労働者の配置その他の雇用管理、
育児休業又は介護休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上等に関して、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(所定労働時間の短縮措置等)
つまり、事業者は育児休業後の労働者の配置を必要に応じて配慮する努力義務があるのです。
この努力義務には罰則がありませんが、怠れば優秀な人材の流出や会社のブランドイメージの低下など、大きなダメージを受けてしまうことは否めません。
最近では育児休暇を取得した男性社員がパタニティー・ハラスメントいわゆる「パタハラ」を受けたとしてTwitter上で炎上し、在籍していた会社の株価が暴落しました。
転勤辞令が無効に!そのポイントは?
最高裁では従業員に多大な負担を強いる場合、転勤命令が無効になったという判例もあります。
ポイントとしては、
・ 業務上の必要性がない場合
・ あっても従業員の不利益が大きい場合
・ 退職に追い込むためや、報復手段としての転勤命令
と判断されるか否かです。
転勤命令や人事異動が不合理だと感じたら
転勤命令が不合理だと感じたら、労働組合に相談し会社との交渉に協力してもらうという方法があります。
それでも解決しない場合は労働裁判やあっせん申立てなどの方法もあります。
育児休暇明けの人事異動(配置転換)についても同様です。
人事異動により原職の役職から外されたり、通勤時間が大幅に増えたり、原職とかけ離れてレベルの低い雑務ばかりさせられる……。
といったような不利益がある場合は「不利益な配置の変更」にあたり、違法になる可能性があります。
また、厚労省の育児・介護休業法及び男女雇用機会均等法の改正を踏まえた主な指針事項(案)でも次のようにあります。
・育児休業及び介護休業後においては、原則として原職又は原職相当職に復帰させるよう配慮すること。
産休明けの社員は本人の希望がない限り、できるだけ原職に復帰させるのが望ましいでしょう。
不利益な取り扱いをされていると感じたら
不利益な取扱いについては、下記のページに一覧がありますので、該当しないかチェックしてみてください。
「不利益取扱いの禁止について」
(厚生労働省委託事業 女性の活躍・両立支援総合サイト 両立支援のひろば)