これって労働時間??

労働時間が法令上、どのように定められているか皆さんはご存知でしょうか。
労働基準法第32条には以下のように定められています。

1.使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
2.使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

つまり、「週40時間以内・1日8時間以内」というものが法定労働時間と定められています(保健衛生業・商業・映画/演劇業・接客娯楽業を除く)。
この法定労働時間を超えて労働させるためには、使用者と「36(サブロク)協定」を結んでいなければ、労働時間基準法違法となります。
「36協定」は、正式には「時間外労働・休日労働に関する協定書」という名称で、非常に大切な協定となるのですが、平成25年の厚生労働省調査では、小企業の実に57%が未締結となっており、違法残業を行なっていることが明らかになっています。

労働時間について知る意味とは

先日、厚生労働省より「労働基準関連法令違反に係る公表事案」(いわゆるブラック企業リスト)が公表されました。
中身を見てみると、「賃金未払い」に関する事案も多数ありました。
労働時間について知識がないままでは、このブラックリストに掲載されてしまう可能性もゼロではありません。
賃金未払いが公表されてしまうと、企業全体のイメージダウンに繋がり、たとえ未払い分の賃金が支払われたとしても、その後の業績に大きな影響を及ぼすこともあります。
使用者・労働者の双方を守るために、今回は、労働時間について質問や勘違いの多い例をご紹介します。

始業前の勤務は残業になる?

深夜残業をなくすために、早朝勤務を推奨している企業が増えています。
社内の制度としている企業は、もちろん始業前での勤務についても時間外労働として計上されていると思いますが、中には、企業で残業時間を制限しているため、仕事を終わらせるために止むを得ず始業時間前に出勤している社員もいると思います。
そのような場合でも給与(残業代)の支給対象になるのでしょうか?
結論から申しますと、始業前であろうと終業後であろうと、給与(残業代)の支給対象となりえます。
残業として認められるかどうかは、企業の指示によって活動しているかどうか? で決まります。

以下に、労働時間と認められる可能性が高いケースを挙げてみました。

・ 始業時刻に作業が開始できるよう、それまでに着替えを完了しておかなければならない
・ 始業時刻前に朝礼やラジオ体操を全員で行っている
・ 始業時間前に、業務の一環となる短時間ミーティングが行われている。
・ 始業時間前に、掃除当番などが業務として振り分けられている。

これらは企業の指示で始業前に出勤しなければならなかったと判断される可能性が非常に高いといえるでしょう。
過去の判例:裁判所「裁判例結果詳細」

通勤ラッシュを避けるため早めに出社している場合などは、労働時間とならないこともありますが、始業時刻前に出社し準備をしなければ営業できないという場合は、労働時間と判断される可能性が高く、注意が必要です。

こんなケースはどう?

お昼休憩時の電話当番

昼休み時間に、自身のデスクでお弁当を食べて、電話が鳴ったら対応するというケースも労働時間と判断される可能性が高くなります。
仮に1本も電話が鳴らなかったとしても同様です。

交代で宿直業務がある場合

お客様からの問合せ対応をするためなどで、宿直がある場合も当然時間外労働として計上しなければなりません。
仮眠する時間があったとしても、仮眠中に対応を必要とする事態が発生する可能性がある場合は、それも合わせて労働時間となります。

時間外労働分は割増賃金が必要です

当然のことながら、時間外労働分については残業代の支払いが必要です。
特に早朝勤務などは、残業代が支払われていないケースも多く、労働基準監督所の監査の際に「是正勧告」を受ける可能性が十分にあります。
まずは、勤務先の勤務実態をきちんと把握し、現状が法律に違反していないかどうかをきちんと把握することが、企業にも従業員にも求められています。

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