新しい年度を迎え、4月~5月にかけて健康診断を行う企業様も多いのではないでしょうか。
健診の案内書を手にとっては、「もうこんな時期か。1年て早いなぁ」などと考えてしまうのですが、この年に1度のイベント(人によっては年に数回受ける方もいらっしゃいますね)、実は「受け方」一つで結果に影響を及ぼすことがあるということを皆さまご存知でしたか?
日頃の健康管理はもちろん大切ですが、健診受診の前日・当日の過ごし方には特に注意が必要です。
自身の健康状態を正しく評価してもらうために、ここでは気をつけて頂きたいポイントをご紹介します。
前日・当日の食事制限
前日、当日の食事制限については配布される案内書で「見たことがない」という方はまずいらっしゃらないでしょう。
それだけ、健診を受けるにあたり重要な制約といえるのが、こちらの注意事項です。
一般的には10時間の絶食が望ましいとされていますが、医療機関からの案内書では「朝食を抜いてください」、「前日の○時までには夕食を済ませてください」といった記載がありますので、お手元の注意事項に従いましょう。
なぜ、「空腹」で受ける必要があるのか?
食事をとることで影響を受けてしまうのが、「血液検査」です。
ほか、前日の飲酒も同様に検査値へ影響を及ぼしますので、毎晩お酒を飲む習慣のある方はご注意ください。
<検査値への影響>※それぞれ、以下項目の数値が高めに出てしまうことがあります。
■検査前の食事⇒中性脂肪、空腹時血糖
■飲酒⇒肝機能、尿酸、中性脂肪、空腹時血糖
空腹時血糖は、その項目名からもわかる通り、空腹状態での血糖値を調べるものです。
そのため、空腹時の数値を判断指標にしているので、食後の満腹状態では高い数値が「異常値」と判断され、糖尿病の疑いとして再検査判定を受けてしまうことに。
血糖値に限らず、上記項目でせっかくの検査が無駄になってしまわないよう、予め影響要因に注意する必要があります。
またバリウム検査、内視鏡検査、腹部超音波検査を予定の方は、内容物があると検査の精度が落ちてしまうため、絶食が守られていない場合は検査が受けられません。
このような場合は、自己申告を!
検査結果への影響を考慮するため、また安全な検査実施のため、以下に該当する方は受診時に医療機関スタッフへお伝えください。
(事前の問診票に、記載事項としてもうけられている場合は、漏れなく記入しましょう!)
●通院中・治療中の病気がある(病名、使用中のお薬など)
●既往歴・過去の手術歴
●(女性の場合)妊娠中・生理中の有無
●アレルギーの有無
●採血をして、具合が悪くなったことがある
⇒採血中の気分不快については、過去のこちらの記事をご参照下さい
(採血中に具合が悪くなるのは、なぜ?)
気をつけたい、検体の「自己採取」
医療機関や受診コースによっては、事前に検査キットが配布され、自己採取し当日持ちこみとなるものもあります(尿・便検査、喀痰検査、子宮頚部細胞診など)。
これらは、採取方法や容器の取り扱い、保管方法が不十分だった場合、正しい判定ができず再検査となることもあります。
特に、婦人科の子宮頚部からの自己採取は、自身でも見えない部分となるため、目的の場所からきちんと採取されていないことや、検体不十分から偽陰性(病気があるのに「異常なし」)と出ることが多いのです。
もし、自己採取と医師採取のどちらか選べるようでしたら、ぜひ「医師採取」を選ぶことをお勧めします。
万全な状態で受けるために
予約時間ギリギリの駆け込み受診、ご経験ありませんか?
急いで走ってきては、血圧が高めに出てしまうことがあります。
余裕をもった到着で、待合室で一呼吸、二呼吸するゆとりを持ちたいものですね。
「いやいや、自分は余裕をもって到着したから、ひとまず一服休憩してくるよ」
いえ、それもいけません!
喫煙によって血管収縮が起こるため、同じく血圧上昇を招きます。
ほか睡眠不足や前日の残業、過度の疲労なども、検査結果へ影響し、稀に検査中の気分不良につながることもあります。
年に1~2回の限られた機会。
健診直前で、特別な生活を意識する必要はありませんが、上記注意点に留意して受けるよう心がけましょう。